Profile 02 Juliana Kwan (ジュリアナ・クワン)

 Juliana Kwan, Project Researcher

名前: Juliana Kwan (ジュリアナ・クワン)
出身地: オーストラリア, シドニー市
職位: Kavli IPMU特任研究員/ペンシルベニア大学ポスドク
おすすめの書籍: ”A People’s History of the World” (著:Chris Harman)
日本で好きな場所: 東京駅の東京ラーメンストリート 「安くて美味しいです!」
 

Kavli IPMU で現在行っている研究について教えてください。

私は宇宙論学者で、宇宙の歴史や星がどのように進化して来たか、宇宙は将来どうなっていくのかといったことに興味があります。特に、弱い重力レンズや宇宙の大規模構造の形成に関心があります。N 体シミュレーションなどを用いて、銀河と関係するフィラメント構造を調べ、大規模構造の中でどのようにして銀河が形成されていくのかに注目しています。ビッグバン後、宇宙初期にできた現在の構造の種となる重力ポテンシャルに熱い物質が落ち込んでいき、構造形成が始まりました。物質が凝集されて後、様々な銀河が絡み合う巨大な網目状の構造へと成長していきました。私は、N 体シミュレーションの結果と望遠鏡を用いた観測との比較を行っています。
 

Kavli IPMU での研究生活について教えて下さい。

Kavli IPMU に来てとても良かったと思っています。日本に来た時はかなりカルチャーショックでしたし、ここに来る前は充分に日本語が分かりませんでした。でも、Kavli IPMU のスタッフはとてもフレンドリーで、色々と助けてくれました。アパートを借りたり、水道料金の支払いをするといったようなこともです。研究に関して言えば、ここには素敵な研究者達がいます。私とは背景が大変異なる方々が沢山いますが、彼らと話をすれば、何か目を向ける際に新しい方向性を与えてくれるような、自分とは異なった観点を得ることができます。私の居室のオフィスメイトは Christophe Bronner (クリストフ・ブローナー) さんで、彼はニュートリノ研究に携わる実験物理の研究者です。私とは分野が異なりますが、物の見方に関して助けてくれるなど大変助かっています。
 

研究活動の背景を教えて下さい。

学部生の頃は、物理と応用数学を専攻しており、オーストラリアのシドニー大学で物理の博士号を取得しました。その後、米国シカゴの外れにあるアルゴンヌ国立研究所で最初のポスドクを経験しています。2016年に Kavli IPMU へ着任する前は、ペンシルベニア大学に2年間在籍していました。
 

科学や今の専門分野に関心を持つようになったきっかけを教えて下さい。

シドニーに住む前、私は夜空の星がとても綺麗なオーストラリアの田舎で育ちました。空を見上げれば、何か道具が無くても本当に美しい星々を見ることができました。合理的で論理的な視点から物事に取り組むのが好きなので、空への愛と科学への興味を結びつけたのです。


これからの研究活動について教えて下さい。

Kavli IPMU が参加している、ハワイすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (HSC; ハイパー・シュプリーム・カム)による大規模サーベイに非常に関心があります。構造形成や弱い重力レンズに関して、共同研究者達とより密に仕事をしていきたいと思っています。


研究内容はどこで拝見できますか?

“Cosmology from large-scale galaxy clustering and galaxy-galaxy lensing with Dark Energy Survey Science Verification data.” というタイトルで最近論文を出しました。これは、ダークエネルギーサーベイ (Dark Energy Survey) プロジェクトの最初のデータを解析し、宇宙論パラメーターを制限するために重力レンズと銀河のクラスタリングの特徴を探ったものです。

論文へのリンク:http://adsabs.harvard.edu/abs/2017MNRAS.464.4045K