加速器実験の現象論

2009年秋よりCERNの大型ハドロン・コライダー(LHC)が稼働し、加速器実験の現象論 は大変重要な研究プログラムになっている。LHC実験の大量の貴重なデータが標準模型やそれを越える物理の研究や様々な新物理の素粒子模型の検証に使われている。 カブリIPMUの研究者はこれらのLHC実験のデータをもとに、広範囲にわたる研究を展開している。

LHC実験のデータにより、電弱対称性の破れの系統的検証や量子色力学の研究、さらには標準模型を越える物理の探求が可能になる。 その中でカブリIPMUの研究者が特に推し進めているのは以下に述べるような標準模型を越える物理の研究である。

  • 超対称性
  • 余剰次元
  • 複合ヒッグズ
  • 暗黒物質
  • その他予想を超えたエキゾチック現象

現在までのところ、LHC実験は質量125 GeVのヒッグス粒子は発見したが、それ以外の新しい物理の兆候は見えていない。 これらの実験結果はTeVエネルギー領域の標準模型を越える物理の考察を深めるために極めて重要である。

カブリIPMUでは他分野の研究者とも活発な交流があり、これは加速器実験の現象論の研究にとって大きな利点をもたらす。 なかでも、素粒子模型の構築、暗黒物質探索や宇宙論との関連は特に大切である。 他の研究プログラムの説明にあるように、カブリIPMUにはこれらの分野で活躍している多くの研究者が在籍しているため、様々なアプローチの研究を効率的に進める ことができる。

また、既存のLHC実験だけでなく、将来の可能性も探っている。 特に取り組んでいるのは、高輝度LHC、国際線形加速器(ILC)、コンパクト線形加速器(CLIC)での標準模型を越える物理の研究である。 (Last update: 2018/04/26)

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