宇宙論と統計

Planck、WP及びBAOデータによるns、rの信頼値68%, 95% の許容領域。比較のためいくつかの理論予測を重ねてある。 Credit: Planck Collaboration

宇宙論の研究は飛躍的な進展を遂げているが、その背景には膨大な観測データの積み重ねがある。これらの観測データから宇宙の構造や進化を決める物理を探るためには、これら膨大なデータの統計的な解析が必要不可欠である。特に、宇宙論的な情報は天体分布の揺らぎに含まれているため、これら宇宙論的揺らぎを特徴づける適切な統計量を用いることが宇宙論の研究において本質となる。これら揺らぎの初期条件はガウス分布に極めて近いことが知られているが、重力不安定性による密度揺らぎの進化の結果、揺らぎのパターンは非ガウス性を示すこととなり、その解析は単純な二点相関を越えた多点の相関関数の解析が必要になる。これは高度に数学的な問題であり、IPMUにおける宇宙論研究の主要テーマの一つでもある。

また観測データと理論モデルを比較する上でも、統計学に立脚した効率のよいパラメータ推定やモデルの峻別が重要になる。例えば、宇宙論の観測データ解析において、マルコフ連鎖モンテカルロ法やベイズ統計が本格的に導入されたのは比較的最近のことだが、これにより宇宙論的観測データの解析は飛躍的に進歩することとなった。近い将来のすばる望遠鏡HSC/PFSをはじめとするさらなるサーベイ計画の稼動によってこの傾向はますます強まっていき、それに応じてさらに高度の統計手法を開発していくことが必須となるであろう。IPMUでは、宇宙論研究者と数学者が連携して新しい統計手法の宇宙論研究への応用の可能性を追求している。

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