斎藤恭司主任研究員が第1回の岡潔賞2016を受賞

2016年12月5日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)
 

2016年12月3日、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)の斎藤恭司 (さいとうきょうじ) 主任研究員が第1回の岡潔賞2016を受賞しました。授賞式は奈良女子大学 (奈良県奈良市) で開催された第15回の岡シンポジウムにおいて行われました。

岡潔賞は、世界的数学者として名を馳せ、女性の高等教育にも力を注いだ岡潔 (おかきよし) 奈良女子大学名誉教授の名前を冠しています。2016年の今年設立され「数学の発展の源である、問題の発掘と新展開へと結びつく解決あるいは発展性のある発見や創意」を生み出した数学者に与えられる賞です。

斎藤主任研究員は、複素解析幾何学の世界的権威で、複素解析幾何学や表現論をはじめとする研究を行い、長年にわたり数学界へ様々な貢献を果たしてきました。特に、斎藤主任研究員が創始した原始形式と呼ばれる周期積分の一形式や楕円型等の無限次元リー環とその表現論は、数学分野に留まらず超弦理論や位相的場の理論などの物理学分野にも多くの影響を与えています。

受賞にあたり、斎藤主任研究員は「岡潔は複素解析関数の持つ深い特性(連接性、擬凸性、上空移行原理、他)を解明した僕の深く尊敬する数学者で、僕の研究もそれなしには成り立ちません。その先生のお名前を冠する賞を頂いたことは、岡潔の数学のその先に何があるかを模索してきた一人として光栄でもあり有り難いことです」と述べています。

また、Kavli IPMUの村山斉機構長は「斎藤教授が岡潔賞の第一回に選ばれたことは、彼の研究が数学のみならず物理学にも大きな影響を与えたことの証です。このようなすばらしい研究者がいることは、Kavli IPMUにとって大きな誇りです」と述べています。

斎藤恭司氏 略歴
1967年 東京大学理学部数学科卒業
1969年 東京大学教養学部数学教室助手
1971年 ゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲン (ドイツ) 博士号取得
1976年 東京大学理学部助教授
1979年 京都大学数理解析研究所助教授
1987年 京都大学数理解析研究所教授
1996年-1998年 京都大学数理解析研究所所長
2000年 フィールズ賞選考委員を務める 
2007年10月-現在 東京大学数物連携宇宙研究機構主任研究員
2008年3月 京都大学数理解析研究所教授を退官
2008年4月 東京大学数物連携宇宙研究機構特任教授

主な受賞歴
1987年:井上学術賞
1990年:国際数学者会議招待講演
2011年:日本数学会幾何学賞

関連リンク
岡数学研究所 岡潔賞/岡潔奨励賞のページ

第15回 岡シンポジウム
 

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Kavli IPMU News Vol.9 (March 2013)
Feature 斎藤恭司 「一数学者の青春の夢」
 日本語版→ http://www.ipmu.jp/pdf/news9/J_FEATURE.pdf
Feature  Kyoji Saito  “Jugendtraum of a mathematician”
 英語版(English version)→ http://www.ipmu.jp/pdf/news9/E_FEATURE.pdf