Kavli IPMU の特任研究員が物理学会若手奨励賞を受賞

2017年12月14日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)


東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の金子大輔特任研究員が第12回 (2018年) 日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。本賞は将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、物理学会の活性化を目的として2007年に設けられた賞で、受賞者は受賞後最初の春の物理学会年次大会で受賞記念講演を行います。金子特任研究員は、2018年3月22日から25日に東京理科大学 (野田キャンパス) で開催される次回の日本物理学会第73回年次大会における受賞記念講演にて素粒子実験領域の受賞者の一人として講演を行う予定です。
 

金子特任研究員が若手奨励賞を受賞するにあたり対象となった研究論文は "The final result of μ+ → e+ γ search with the MEG experiment”と題した博士論文です。スイスのポールシェラー研究所では2016年まで MEG 実験と呼ばれる、ミュー粒子が陽電子とガンマ線に崩壊する素粒子標準理論では起こり得ないとされる稀な崩壊を探し出して、超対称性大統一理論の証拠を捉えようとする実験が行われており (現在は MEG II実験にアップグレード中)、金子特任研究員の博士論文はこの MEG 実験のデータ解析の最終結果に関する内容です。
 

なお、昨年の第11回 (2017年) 日本物理学会若手奨励賞にはKavli IPMUの桜井雄基特任研究員が素粒子実験領域の受賞者の一人に選ばれており、"Evidence for the Higgs boson in the τ+τ- final state and its CP measurement in proton-proton collisions with the ATLAS detector" と題した、欧州原子核研究機構 (CERN) で行われている ATLAS 実験でのヒッグス粒子探索に関する内容の博士論文が受賞対象となっています。
 

金子特任研究員及び桜井特任研究員はいずれも現在、Kavli IPMU の CMB  (宇宙背景放射) 実験のグループに所属しています。CMB 実験のグループでは、宇宙初期に起こったとされるインフレーションの証拠を得るため、宇宙背景放射の中に現れる原始重力波の痕跡を捉えることを目指しており、LiteBIRD衛星プロジェクト及びPOLARBEAR実験に参加し研究を行っています。異なる素粒子実験で培った両名の経験がKavli IPMU の CMB 実験の研究において活かされることが期待されます。

 

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