LiteBIRD計画、文部科学省の「ロードマップ2014」に選ばれる

2014年10月16日

東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 

LiteBIRD衛星(概念図)
(C) JAXA宇宙科学研究所LiteBIRD衛星(概念図)
(C) JAXA宇宙科学研究所

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の村山斉(むらやまひとし)機構長を計画責任者とした『LiteBIRD - 熱いビッグバン以前の宇宙を探索する宇宙マイクロ波背景放射偏光観測衛星』計画が、文部科学省の設置している科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会のもとに設置された学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会が策定した『学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの策定 – ロードマップ2014 -』(8月26日公表)の「新たにロードマップとして掲載する10計画」のひとつに選ばれました。

LiteBIRD(ライトバード)計画は、熱いビッグバン以前の宇宙を記述する現在最も有力な仮説である「インフレーション宇宙仮説」を検証するため、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光の観測からインフレーションの証拠となる「原始重力波」※の痕跡の検出を目的とする衛星計画です。2020年代初頭に打ち上げ、約2年間の観測を行うことが想定されています。Kavli IPMUと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心機関となり、国立天文台(NAOJ)や高エネルギー加速器研究機構(KEK)などの連携機関とも協力しながら計画の実現を目指しています。

CMB偏光の観測から「原始重力波」の痕跡を検出する試みに関しては、現在南米チリや南極などにおいて、地上からの観測による実験が行われています。もし、「原始重力波」の痕跡を検出できれば、宇宙はじまりの謎の解明につながる大発見となることから、世界中で熾烈な競争が繰り広げられています。しかし、地上では大気のゆらぎや全天観測の困難さがつきまとうため、衛星を使っての観測が提案されています。

LiteBIRD計画は2014年3月に日本学術会議が策定した『第22期学術の大型研究計画に関するマスタープラン』(2014年3月12日公表)の「重点大型研究計画」27件のひとつにも選ばれており、研究者コミュニティーにとっても関心の高いプロジェクトの一つとなっています。

今回、文部科学省のロードマップ2014に選ばれたことで、ロードマップに基づくプロジェクト具体化の検討や研究者間での議論の活発化等により、一層の計画推進が期待されています。

 

関連リンク
学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの策定 −ロードマップ2014−(2014年8月26日公表 文部科学省HP)

第22期学術の大型研究計画に関するマスタープラン(マスタープラン2014)(2014年3月12日公表 日本学術会議HP)

LiteBIRD計画が日本学術会議マスタープラン「重点大型研究計画」のひとつに選ばれる (2014年3月17日 Kavli IPMU HP記事)

LiteBIRD計画のページ


問い合わせ先
報道対応:
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
広報担当 小森 / 大林
E-mail: press_at_ipmu.jp 

Tel: 04-7136-5977 / 5974  Fax: 04-7136-4941

LiteBIRD計画について:
片山 伸彦(かたやま のぶひこ)
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 教授・副機構長
E-mail: nobu.katayama_at_ipmu.jp
Tel: 04-7136-5958

羽澄 昌史(はずみ まさし)
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 特任教授
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 教授
E-mail: masashi.hazumi_at_ipmu.jp


※メール送信の際は _at_ を @ で置き換えて送信お願いします。