暗黒物質探索実験

宇宙を構成する全ての物質(エネルギーも含めた)の約23%が、我々が呼ぶところの暗黒物質である。「暗黒」と呼ばれるのは、宇宙の4%を占める通常の物質のように光と反応しないためであり、望遠鏡で観測することはできない。しかし、重力を通して通常の星や銀河の運動に痕跡を残すため、はっきりとその存在を「見る」ことができる。この方法を使って、宇宙の進化過程の各時点での暗黒物質の分布図を作り上げることが可能になっているが、その正体は依然として不明のままである。

暗黒物質は弱い相互作用だけで他の粒子と反応するというのがひとつの可能性である。この可能性は素粒子論の観点からもきわめてもっともらしいので、それに特化した方法による探索実験が世界中でおこなわれている。このタイプの暗黒物質は「弱い相互作用をする重い粒子」(Weakly Interacting Massive Particle)、つまり「WIMP」と呼ばれている。

当機構でも神岡支部に設置されたエックスマス実験でその探索をおこなっている。摂氏マイナス100度まで冷却された1トンの液体キセノンを使った検出器である。高密度の液体は暗黒物質が反応する標的の役割を果たすと同時に、放射能バックグラウンドを遮蔽する役割も果たす。この中心部分を覆う800トンの水タンクにセンサーを装備して、隣接する岩盤から発生する高速中性子を減速させ、さらには通過するミュー粒子の存在を知らせる。

2011年秋に最初のデータ収集がおこなわれた。さらに、いくつかの改良と調整を続けていけば、我々の住む銀河を漂っている暗黒物質を直接観測するための世界最高感度の装置になると期待する。

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