XENONnT

イタリアのグランサッソ国立研究所(LNGS)地下実験施設におけるXENON1T測定器は、暗黒物質探索の上限値を新しい領域へと数度にわたり更新した後実験を終了し、現在第2世代(G2)暗黒物質直接検出実験XENONnTにアップグレード行っています。測定器に置き換えられます。XENON実験グループは二相液体キセノン検出器の技術を世界に先駆けて開発し、これまで次々と大型化した検出器によって世界をリードしてきました。写真は現在LGNSの地下実験室ホールBに設置されているアップグレード前のXENON1T実験設備を示します。宇宙線μ粒子を除去するためのタンクの内部のポスターがタンクに貼ってあります。現在は、タンク内部と右側の3階建てのガラス窓の建物の内部の既成の装置に新しい技術と改善された装置が組み込まれています。

カブリIPMUは、XENON実験プログラムの最終段階であるXENONnTへのアップグレードへの日本グループの参加を主導しています。XENONnT測定器では、WINPとキセノン原子核標的の衝突反応により50GeVの質量のWINPの散乱断面積を10-48 cm2のレベルまで探索することが期待されています。東京大学宇宙線研究所(ICRR)、名古屋大学および神戸大学のXENON実験の参加者と協力し、特にこれまでに培ったキセノンの純化やラドンモニターの専門技術を神岡からLNGSに持ち込もうとしています。また、XENONnTのtime projection chamber(TPC)を囲む最善の中性子除去検出器をデザインするうえで、スーパー・カミオカンデのために開発された日本の技術が選択されました。XENONnTは硫酸ガドリニウムを注入した水チェレンコフ検出器をキセノンの検出器物質から出てくる中性子除去に使用します。XENONnTで目指している感度を達成するには、検出器の物質内でのalpha/n 反応により生成され、液体キセノンTPCで検出されずに出てきた中性子を伴う事象を除去することが必要不可欠となります。

勿論、我々全員がこれまでの知識や経験の総力をあげて建設した最善の測定器で最高の結果を得ること期待しています。カブリIPMUおよび全参加機関の研究者は、検出器技術とクリーンな環境を追求し上限値をさらに押し下げることに力を注いでいます。これからの成果にご期待ください。

(Last update: 2019/10/25)

関連リンク

関連ニュース