2025年3月3日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI)
2025年2月27日、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI) と福島国際研究教育機構 (F-REI) は、Kavli IPMU 棟で研究協力に関する協定の締結式を行いました。
協定の目的
宇宙物理学、素粒子物理学などの Kavli IPMU の基礎科学研究の基盤と、近年進めてきた基礎科学の成果をがん研究などの社会に役立つ研究に展開する過程でえられた知見を、F-REI による社会実装に向けた研究開発に応用することで、Kavli IPMU はデータサイエンスの深化や、将来の宇宙観測や素粒子物理学の更なる発展、F-REI は創造的復興につながる研究教育拠点としての基盤の充実を目的としています。
協定締結の背景と経緯
Kavli IPMU は、「宇宙は何で出来ているのか」をはじめとする宇宙の根源的な複数の問いに答えるため設立された国際的研究機関です。数学、物理学、天文学の研究者が集い、国際的かつ異分野融合を特徴とした様々な研究を行っています。近年では宇宙観測⽤に開発した半導体検出器を医療や非破壊検査へ応用し、新たなイメージング技術の開発を行っているほか、データサイエンスと人工知能・機械学習 (AI/ML) 技術を駆使して宇宙の理解を進めることを目的とした「データ駆動型探究センター」(Center for Data-Driven Discovery :CD3) を設立するなど異分野融合研究が一層の広がりを見せています。F-REI は、複合的災害に見舞われた福島の地だからこそ優位性を発揮できる5つの研究分野を定め、「創造的復興の中核拠点」を目指し世界最先端の研究を推進しています。なかでも、Kavli IPMU の行う半導体検出器によるガンマ線イメージングや放射線計測技術に関する研究ならびに AI を使ったデータ解析技術の研究は、F-REI が行う「放射線科学・創薬医療/放射線の産業利用」と「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」分野や、他の研究分野とも親和性が高く、双方の連携により更なる研究の進展が期待できます。また、Kavli IPMU は外国人研究者が60%以上を占める国際的な研究環境ですが、F-REI も世界に冠たる研究拠点を目指しており双方の方向性の一致から今回の研究協力協定書の締結へと至りました。
協定の概要
1. 双方が有する基盤技術の高度化を図るための研究協力の推進
2. 宇宙観測技術を応用した診断・治療技術開発及び遠隔技術高度化に繋がるイメージング技術開発に関する研究協
力の推進
3. データ分析およびAI技術の活用に関する研究に関する研究協力の推進
4. 上記に関連する研究人材の交流及び育成に関する協力
5. 研究成果、学術資料、刊行物等情報の交換
6. 講演会、研究フォーラム、国内・国際シンポジウム等学術的行事の共同開催又は招待
7. その他本協定の目的を達成するため、双方が必要と認める協力
報道対応:
国立大学法人 東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構
広報担当 小森真里奈
TEL: 04-7136-5977
E-mail: press_at_ipmu.jp
*_at_を@に変更してください
福島国際研究教育機構
国際・産学官連携推進課 村山、板橋
TEL: 0240-41-9989
E-mail: f-rei_sanrenka_at_f-rei.go.jp
*_at_を@に変更してください
機関概要:
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
Kavli IPMU は、宇宙への根源的な疑問に答えるために設立された国際的研究機関。2007年10月に東京大学をホスト機関とし、数物連携宇宙研究機構(IPMU)として文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)に採択されて発足。2011年1月には東京大学国際高等研究所が設立され、IPMU はその最初の研究機構として認定された。さらに、2012年4月には東京大学が米国カブリ財団による寄附を受けたことにより、カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)と改称。2025年現在、約90名の常勤研究者が在籍しており、物理学、数学および天文学を中心とする分野の研究者が研究を行っている。(https://www.ipmu.jp)
福島国際研究教育機構
福島復興再生特別措置法に基づき、2023年4月1日に設立された特殊法人。2011年の東日本大震災において大震災と原子力災害という複合的な災害を経験した福島地区において、この地だからこそ優位性を発揮できる5つの研究分野(ロボット, 農林水産業, エネルギー, 放射線科学・創薬医療/放射線の産業利用, 原子力災害に関するデータや知見の集積・発信)を定め、世界最先端の研究を推進している。また、研究成果の社会実装・産業化や人材育成についても主要な業務としており、福島はじめ東北復興実現のための世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指している。(https://www.f-rei.go.jp)
