尾上匡房 客員准科学研究員が2025年度の第37回⽇本天⽂学会研究奨励賞を受賞

2026年3月5日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU, WPI)

 

早稲田大学高等研究所講師で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI)客員准科学研究員の尾上匡房 (おのうえ まさふさ) 氏が2025年度の第37回⽇本天⽂学会研究奨励賞を受賞しました。

⽇本天⽂学会研究奨励賞は、天文学への寄与が顕著なる優れた研究成果を上げている若手天文学者を表彰することを目的としています。2026年3月4日から7日に京都産業大学で開催される日本天文学会2026年春季年会の場で授賞式と受賞記念講演が行われる予定です。
 

今回の受賞理由は「遠方超巨大ブラックホールの革新的な観測研究」です。
尾上氏は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いて赤方偏移 z ~ 6を超える129億年前の宇宙に存在する低光度クェーサーを観測し、遠方のクェーサーが属する母銀河の星成分の検出に世界で初めて成功しました。この結果から、遠方宇宙における超巨大ブラックホールと母銀河の質量比が近傍宇宙の共進化関係と矛盾しないことを発見しました。また、この観測を行った一部天体については母銀河がすでに星形成活動を停止した大質量銀河であることを突き止めました。さらに、JWST の観測データの解析によって、コンパクトで超低光度のz ~ 5活動銀河核(AGN)候補天体を発見し、世界に先駆けて報告しました。その後、JWST による遠方低光度 AGN の発見が相次いでおり、これまで知られていた遠方クェーサーの数密度からの類推をはるかに凌駕する数の AGN が見つかっていることから、AGN 研究は尾上氏の報告を契機に大きな転換期を迎えています。このように、尾上氏は天文学における先進的な研究を数多く成し遂げ、2020年以降、筆頭論文5本、第2・第3著者論文21本、共著論文61本という目覚ましい業績を挙げています。また、JWST やすばる HSC のみならず、ベラ・C・ルービン天文台、ユークリッド宇宙望遠鏡、ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡といった現在進行中、あるいは、数年以内に開始する国際大型プロジェクトにも積極的に参加しています。尾上氏は、これまで築いてきた国際的研究ネットワークも駆使することで、研究をさらに発展させ、今後も、超巨大ブラックホールの形成・成長過程や、銀河との共進化について、今後も世界をリードする成果を生み出すことが期待されます。
 

Kavli IPMU 客員准科学研究員の尾上匡房  (おのうえ まさふさ) 氏(撮影:大西陽)

 

今回の授賞について尾上氏は以下のように述べています。
「このたび、大学院生の頃から取り組んできた遠方超巨大ブラックホールの研究で、日本天文学会研究奨励賞を受賞することができました。大変光栄に思うとともに、これまでの研究生活を振り返り、国内外の多くの共同研究者の方々に支えられてきた幸運に深く感謝しています。Kavli IPMU-KIAA 天体物理学フェローとして研究に没頭した4年間は、私の研究人生の核となっています。今後も James Webb 宇宙望遠鏡や、すばる望遠鏡 Prime Focus Spectrograph プロジェクトなどの大型プロジェクトに携わりながら、超巨大ブラックホールの謎の解明に挑んでいきたいと思います。」
 

関連リンク
2025年度 日本天文学会各賞について

2025年度 日本天文学会各賞授賞理由

⽇本天⽂学会研究奨励賞歴代受賞者


初期宇宙のカギ握る「超巨大ブラックホール」、世界初の成果で見えてきた、銀河との“じつに密接”な関係(上)(WPI Forum記事)

初期宇宙のカギ握る「超巨大ブラックホール」、世界初の成果で見えてきた、銀河との“じつに密接”な関係(下)(WPI Forum記事)

Discerning the Galactic Dens Where Monster Black Holes Lurk (カブリ財団の記事)


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