機構長からのメッセージ (3月23日)

世界各地の関係者の皆様

あの壊滅的な地震と津波の災害から11日が過ぎました。極寒の状況で、十分な日用品もままならない被災者の方の困難な状況を目にするのは痛ましい限りです。皆様には、救済への取り組みのサポートについて再度検討していただけますようお願い申し上げます。信用しうる団体は容易にみつけられるものと思います。私は日本赤十字を選びました。東大を通じ、銀行口座を介した寄付を行う(8/12現在受付終了)こともできます。

IPMUでの日常もまた、計画停電、少なくなった電車の運行本数、時折起こる余震などによって通常通りというわけにはいきません。ただ、皆冷静で、できる限り仕事に集中しようとしています。特に傷を負った者はおらず、インフラへの被害もなにもありません。

放射線被害について心配する方が多いことと思います。IPMUの北200Km方向にある原子力発電所で起きた事故が原因です。私個人は、IPMU付近の放射線濃度について、警戒すべき値を余裕を持って下回っていると考えています。文科省のWebサイトでは、都道府県別に測定値を提供しています。IPMUのある場所はこの茨城県と千葉県の測定地の間になります。IAEAが独自に行った測定においても、同様の結果が得られました。

東京大学もまた独自の測定を行っています。この「柏」がIPMUのある場所です。

明らかな例外として、福島県の放射線濃度をこのページで見ることができます。私の見たところ、大方の専門家は20Km圏内からの待避は妥当で適切だということで了解しているようです。

この原子力発電所の置かれた状況は非常に心配なものです。背景事情に関心のある方には、私のみつけた非常に情報豊かな2つのWebサイト、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のBenjamin Monreal教授による講義と、MIT原子力理工学科を紹介しておきます。

日本の北東沿岸部は困難な状況にあり、私たちは被災者の方々を救助しようとしています。ここIPMUは地震と津波による壊滅的な破壊からは免れたからです。被害を受けた地域の研究者を迎えいれ、暖房器具と照明の使用を控えることにより、消費電力量の削減に協力しています。わたしたちは皆で協力しあい、この困難を乗り越えられるに違いありません。

村山斉