2011年度(第6回)素粒子メダル奨励賞受賞 --伊部昌宏併任研究員--

2012年1月20日
数物連携宇宙研究機構(Institute for the Physics and Mathematics of the Universe : 略称 IPMU)

東北大学の北野龍一郎准教授と東京大学宇宙線研究所准教授でIPMUの科学研究員伊部昌宏氏が2011年度(第6回)素粒子メダル奨励賞を受賞いたしました。

受賞業績の題目: "“Sweet Spot Supersymmetry.”, Journal of High Energy Physics 0708 (2007) 016.

 

授賞理由:

超対称理論は、標準模型のヒッグス質量に関する微調整問題を解決する理論 として有望視されているが、超対称性の破れの起源については、いまだに よくわかっていない。
対象論文では、超対称性の破れに関する新しい可能性 として重力媒介機構とゲージ媒介機構の両方の長所が働くことで、その現象論的宇宙論的な制限が非自明に満たされるシナリオを提案した。特に、グラ ビティーノ質量を1GeVと取ると、ゲージーノ質量、ヒッグジーノ質量、 ダークマターであるグラビティーノの残存量が、現象論的観測的に好ましい値になるだけでなく、そのスケールが大統一スケールに定まることも興味深い。 さらに低エネルギーでの予言や、LHCでの検証方法まで提案している。
現象論
的宇宙論的制限を満足するシナリオ構築から、その検証に至るまで、幅広く総合的に議論しており、高く評価される。