中家剛Kavli IPMU客員上級科学研究員が仁科記念賞を受賞

2014年11月12日
東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)

中家剛 教授中家剛 教授

京都大学大学院理学研究科教授で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構客員上級科学研究員の中家剛(なかや つよし)氏が2014年度の仁科記念賞を受賞しました。中家氏と共にT2K実験(東海-神岡間長基線ニュートリノ振動実験)国際共同研究グループを率いる高エネルギー加速器研究機構(KEK)素粒子原子核研究所教授の小林隆(こばやし たかし)氏との共同受賞となります。

仁科記念賞は故仁科芳雄博士の功績を記念して設けられた賞で、原子物理学に関連のある理学、工学、医学等あらゆる分野において優れた研究業績をあげた若手研究者を表彰することを目的としています。12月5日(金)に東京會舘で授賞式が行われる予定です。

今回の受賞対象となった研究は「ミューニュートリノビームからの電子ニュートリノ出現事象の発見」です。中家氏らの率いるT2K実験では、岐阜県飛騨市神岡町にある巨大ニュートリノ検出器である「スーパーカミオカンデ」に向けて、295km離れた茨城県東海村の大強度陽子加速器施設(J-PARC)からミュー型ニュートリノのビームを打ち出しています。そして、2013年7月にミュー型ニュートリノが電子型ニュートリノへ変化する「電子型ニュートリノ出現現象」が存在することを世界で初めて明らかにしました。この成果により、電子型、ミュー型、タウ型の三世代あるニュートリノの全ての振動現象を発見したことになります。さらには、今後ニュートリノでのCP対称性の破れの研究につながる手がかりを得ることが出来ました。

2014年2月にはT2K実験国際共同研究グループのJ-PARCニュートリノビームグループが「世界最高強度ニュートリノビーム施設の実現による電子ニュートリノ出現現象発見への貢献」により2013年度諏訪賞を受賞しています。
 

中家 剛 教授略歴
 1995年6月:大阪大学大学院理学研究科博士後期課程修了
 1993年4月:日本学術振興会DC特別研究員
 1994年6月:米国フェルミ研究所客員研究員
 1995年8月:日本学術振興会海外特別研究員(米国フェルミ研究所所属)
 1997年3月:シカゴ大学フェルミ研究員(Enrico Fermi Fellow)
 1999年9月:京都大学大学院理学研究科 助手
 2002年10月:京都大学大学院理学研究科 助教授
 2007年4月:京都大学大学院理学研究科 准教授
(2008年3月〜現在:東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構客員上級科学研究員)
 2009年12月:京都大学大学院理学研究科 教授
 

関連リンク
仁科記念賞
J-PARCニュートリノビームグループが2013年度諏訪賞を受賞
T2K実験グループのホームページ
KEK小林隆氏ら3名が仁科記念賞を受賞 - ニュートリノ振動の証明に貢献