基礎科学は役に立つ -「JAXA - Kavli IPMU/東京大学 硬X線・ガンマ線イメージング連携拠点」 本格始動 -

2018年3月26日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)

 

1 . 発表のポイント

・「JAXA - Kavli IPMU/東京大学 硬X線・ガンマ線イメージング連携拠点」が発足し (図1)、4 月には主要メンバーが揃い、本格的に活動を開始することとなった。

・  硬X線・ガンマ線イメージング技術の「がん」研究への応用をめざし、宇宙科学や素粒子研究者による医学研究者に対するソリューション提供の場を実現する。


2 . 発表の概要
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) と宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 (ISAS/JAXA)  は、「JAXA- Kavli IPMU/東京大学 硬X 線・ガンマ線イメージング連携拠点」を発足することで2017年10月に合意し、 これまで準備を進めてきました。2018年4月1日にはKavli IPMU の主要メンバーが揃い、本格的に活動を開始します。Kavli IPMU に置かれるこの拠点は、ISAS/JAXA で培われた硬X 線・ガンマ線イメージングの技術を用い、慶応義塾大学医学部との協力のもと、核医学、特にがん研究への加速的応用を行うことを目標にします。
 

3 . 発表内容
【背景 基礎科学は役に立つ】
Kavli IPMU は発足以来、数学、物理、天文学の分野で世界トップレベルの成果を出してきました。これらの分野は知の好奇心を駆動力とする基礎科学です。一方で、Kavli IPMU は、発足当時から、基礎科学は社会の役に立つと主張してきました。本拠点は、その主張を実証する典型として、分野が近く Kavli IPMU と相乗効果が大いに見込める ISAS/JAXA と共に、「医学研究における実験手法実現のためのソリューション提供」に貢献するための取組です。
 

【拠点の目的 宇宙望遠鏡から医学顕微鏡へ】
Kavli IPMU は、ISAS/JAXA の宇宙衛星プロジェクトと密接な連携をとってきました。ISAS/JAXA には、宇宙衛星用に、世界に類を見ない高感度の硬X線撮像分光装置や軟ガンマ線検出器を開発したノウハウがあります。小動物のイメージングに、これらの検出器を活かせば、極めて高い分解能と正確な定量性をもって、これまで困難だった「がん幹細胞」の生体内での可視化が可能になるなど、がん根治に向けた研究に発展をもたらすと期待できます。
 

【拠点の実施体制】
本拠点は、東京大学柏キャンパスに設置します。大学共同利用システムである ISAS/JAXA の理学・医学・薬学の共同研究ブランチとして、医学研究コミュニティの課題に対するソリューションを提供する組織へと発展させることを目的とします。


4. 問い合わせ先:
(連携拠点に関すること)
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 主任研究員
相原 博昭 (あいはら ひろあき)
TEL:03-5841-4125  E-mail:aihara_at_phys.s.u-tokyo.ac.jp 
*_at_を@に変更してください

(報道に関すること)
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 広報担当 小森真里奈
TEL: 04-7136-5977  E-mail: press_at_ipmu.jp
*_at_を@に変更してください