3/9-25, 第1回 Kavli IPMUアーティスト・イン・レジデンスプログラム参加作家展

2018年2月6日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)

> 開催報告記事

2018年3月9日 (金) から25日 (日) の17日間、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) はカマタ_ソーコ (東京都大田区) において、「再n邂逅する科学と美術の試み, 2018 東京 - 第1回Kavli IPMU アーティスト・イン・レジデンスプログラム参加作家展」を開催します。Kavli IPMU アーティスト・イン・レジデンスプログラムとは、機構に約1か月間程度アーティストが滞在し、研究者が研究する同じ場で研究者と交流をしながら作品の滞在制作を行うものです。これまでに、絵画、メディアアート、彫刻の各分野1名ずつの3名が参加しました。本展は、プログラムに参加し、滞在制作を行った作家による新作展覧会です。アーティストと科学者間で行われた交流が多くの方に共有いただける場となれば幸いです。

 

展覧会概要

展覧会名 :再n邂逅する科学と美術の試み, 2018 東京-第1回 Kavli IPMU アーティスト・イン・レジデンスプログラム参加作家展
会 期 :2018年3月9日 (金) - 3月25日 (日)
開室時間 :12:00-18:00 (火-木), 11:00-20:00 (金土日・祝) ※月曜休室
会 場 :カマタ_ソーコ(東京都大田区萩中3丁目22-7)
企 画 :坪井 あや(Kavli IPMU 広報)
料 金 :無料
主 催:東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)
協 賛:アイティーエル株式会社
協 力:@カマタ (※注)
助 成 :日本学術振興会 (JSPS)
Webサイト:http://www.ipmu.jp/ja/2018AIRExhibition
問合わせ先:東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 広報
Tel:04-7136-5981(本企画担当:坪井), Fax:04-7136-4941,E-mail:press_at_ipmu.jp

展覧会について (企画者より)

科学と美術が出会う時、それはいつも思いがけない巡り会いで、時に私達にとって大きな意味をもつものを生みます。例えば20世紀初頭、パリで科学と美術が邂逅 (かいこう) したときには、ピカソ、デュシャンを筆頭に多様で活発な文化が生まれています。21世紀初頭の今、日本にある基礎科学の研究所であるカブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) にて、再び科学と美術の邂逅が試みられます。

役に立たない基礎科学と揶揄されることも多い数学と物理学ですが、諸科学の中の王と女王とも称されます。東京大学のカブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)はその数学と物理学を含む、数学、物理、天文学の3分野で宇宙の謎を解き明かすことを目指す研究所です。この研究所に1か月間アーティストが滞在し、研究者が研究する同じ場所で研究者と交流をしながら制作をして過ごしました。絵画、メディア、彫刻、これらは美術の最も基本的な分類の仕方の1つですが、本展は、Kavli IPMUで滞在制作を行った画家、メディアアーティスト、彫刻家3名の作家による新作展覧会です。

出品作家の3名は、共通の意向を持って制作をするものではありませんが、共に制作手法をその制作基盤の重要な1要素とします。この科学と美術双方が徹底して基底であることは、本展覧会の一連のプログラムを単なる出会いではなく邂逅とする可能性をもたらすでしょう。

この時、邂逅は、科学と美術に加え、例えば哲学など、それが徹底して基底である限りにおいては何者とも接続しうる1つの場となります。それは、科学と美術の邂逅の場がほとんど初めての人にとっても、繰り返し触れている人にとっても、更には、これまで科学にしか邂逅したことがない人にとっても、美術にしか邂逅したことがない人にとっても、等しく邂逅の場となることを意味します。この邂逅の場は、多様な対象が様々なバイアスを外しお互いに出会い直す場とも言えるでしょう。

基底で出会い直したわたしたちは、ようやくわたしたちが何を求めているのかを見定め、これからを生きる方策を構築することを共に検討していくことができるのかもしれません。このプログラムは継続的な発展を視野にいれるものです。

*本展覧会は日本学術振興会 (JSPS) 科研費「自然科学と哲学・芸術の融合を触発するアウトリーチ活動の研究(17H00286)」の助成を受けたものです。

出展作家

  • 野村 康生 (のむら やすお)

1979年島根県生まれ。2004年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。「現代科学が想定する高次元理論から絵画を再考する」ことをテーマとしている。2015年、Kavli IPMUのAIRに参加。主な展覧会は「VOCA展2018」(2018/上野の森美術館/東京)、個展「Dimensionism」(2017/hpgrp GALLERY TOKYO/東京)、個展「Here and There」(2016 /hpgrp GALLERY NEW YORK /ニューヨーク)など。2016年に理化学研究所 脳科学総合研究センターと共同企画を実施。
http://yasuonomura.com

  • 平川 紀道 (ひらかわ のりみち)

1982年生まれ。もっとも原始的なテクノロジーとして計算に注目し、コンピュータプログラミングによる数理的処理そのものや、その結果を用いたインスタレーションを中心に作品を発表。2016年、Kavli IPMU AIRで作品「datum」シリーズの制作に着手し、豊田市美術館、札幌国際芸術祭プレイベントで発表。2017年、チリの標高約5,000mに位置するアルマ望遠鏡でのレジデンスを経てシリーズ最新作を制作開始。また池田亮司氏、三上晴子氏らの作品制作への参加、ARTSAT (Art and Satellite) プロジェクトのアーティスティックディレクション等も行う。
http://counteraktiv.com

  • 春山 憲太郎 (はるやま けんたろう)

1974年生まれ。2005年 The Slade School of Fine Art, University College London MFA修了。活動は、架空の建築物の一部を制作して実在のスペースに導入する他、仮説としての彫刻のプラン模型の制作などに及ぶ。2018年にKavli IPMU AIRに参加。主な展覧会は、「Design」(2012/Radi-um von Roentgenwerke AG/東京)、「掌10」(2011/Radi-um von Roentgenwerke AG/東京)、「Plastic」(2007/The Slade School of Fine Art/London)など。現在東京にて活動。

展覧会の特徴

  • 基礎科学と美術が日本で出会うーKavli IPMU アーティスト・イン・レジデンスプログラム

数学、物理学、天文学の3分野で宇宙の謎を解き明かすことを目指す東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)は、その融合が世界的にもめずらしく、年間を通じて1,000人超の研究者が世界中から訪れます。日本にある、この基礎科学の研究所のKavli IPMUに約1か月間アーティストが滞在し、研究者が研究する同じ場所で研究者と交流をしながら制作をして過ごしました。

  • 3つの手法による作品

絵画、メディア、彫刻、これらは美術の最も基本的な分類の仕方の1つですが、本展は、Kavli IPMUで滞在制作を行った画家、メディアアーティスト、彫刻家3名の作家による新作展覧会です。彼らは、共通の意向を持って制作をするものではありませんが、共に制作手法をその制作基盤の重要な1要素としています。基礎科学と出会った3作家の作品と基礎科学を伝える展示を通じて、鑑賞者は美術の基底ともいえるものに思いをめぐらすことになるでしょう。

  • Kavli IPMUのサイエンスを紹介

専門性が高く、中でも特に敷居の高い印象を持たれがちな現代数学と理論物理学ですが、Kavli IPMUでは両者が相互に関係しながら研究が進んでいます。その融合の一端に、映像やセミナーを通じて触れることのできる機会を提供します。

  • 多様な専門家が出会う関連イベント

関連プログラムでは、哲学、美術論、科学論等から専門家を招き、この邂逅が機能していくことができるよう、その実践と設計、可能性の是非を、参加者の皆様と一緒に共有していきます。

展示構成

春山氏は、2018年1月から2月にかけてKavli IPMUに滞在した際に制作した彫刻作品1点を展示します。野村氏による絵画作品5点のインスタレーション、平川氏による100m2の空間を使った Visual & Sound  インスタレーション「datumn」は、いずれも新作になります。加えて、Kavli IPMUとレジデンスプログラムの詳細、及びKavli IPMUで行われている研究内容についてもわかりやすくご紹介します。

関連プログラム

※諸般の事情により事前の告知なく変更になる場合があります

レクチャー

  •   「Kavli IPMU のサイエンスから1 - 不思議なマッカイ対応」

出演:伊藤 由佳理 Kavli IPMU教授/名古屋大学准教授
日時:3/18 (日) 11:00-12:30
会場:カマタ_ソーコ
定員:40名
料金:無料
申込:不要(但し、当日先着順にて整理券配布。定員に達し次第締切)

  •   「Kavli IPMU のサイエンスから2 - シャボン玉と時空」*

出演:Will Donovan (ウィル ドノバン) Kavli IPMU特任研究員
日時:3/21 (水・祝) 14:00-15:30
会場:カマタ_ソーコ
定員:40名
料金:無料
申込:不要 (但し、当日先着順にて整理券配布。定員に達し次第締切)
*英語による講演。通訳はつきません。

  •   「Kavli IPMU のサイエンスから3 - 数学って何をするんですか?ー聞いてみよう!数学者とのダイアログ」

出演:阿部知行 Kavli IPMU准教授
日時:3/17 (土) 14:00-15:00
会場:カマタ_ソーコ
定員:40名
料金:無料
申込:不要 (但し、当日先着順にて整理券配布。定員に達し次第締切)

シンポジウム

  •  「Kavli IPMU AIRプログラムを考える1. - 科学論と美術論から考える基礎×科学×美術」

 出演:奥村大介東京大学特任研究員(科学文化論),沢山遼(美術批評), 池田暁志 Kavli IPMU 特任研究員(数学), 砂山朋美 Kavli IPMU 特任研究員(天文学), 春山憲太郎2017年度レジデントアーティスト(彫刻),平川紀道2016年度レジデントアーティスト(メディア),野村康生2015年度レジデントアーティスト(絵画)
日時:3/10 (土) 14:00-17:00
会場:カマタ_ソーコ
定員:40名
料金:無料
申込:不要 (但し、当日先着順にて整理券配布。定員に達し次第締切)

ワークショップ

  •   「Kavli IPMU AIRプログラムを考える2. - 真×善×美から考える科学の基底と美術の基底」

 出演:桑原俊介上智大学助教 (美学), 丸山善宏京都大学助教(論理学), 山崎雅人Kavli IPMU准教授(理論物理),春山憲太郎2017年度レジデントアーティスト(彫刻),平川紀道2016年度レジデントアーティスト(メディア), 野村康生2015年度レジデントアーティスト(絵画)
日時:3/11 (日) 10:00-16:30
会場:多摩六都科学館
定員:48名
料金:無料(別途、入館料が必要)
申込:要事前申込 (申込は多摩六都科学館042-469-6100までお電話を。お席まだ余裕があります。)
※応募多数の場合は抽選。事前に展覧会を鑑賞できる方を優先します。

セミナー

  •   「人工意識から見るKavli IPMU AIRプログラム」

出演:金井良太(ARAYA Inc., CEO)
日時:3/24 (土) 14:00-15:30
会場:カマタ_ソーコ
定員:40名
料金:無料
申込:不要 (但し、当日先着順にて整理券配布。定員に達し次第締切)

  •   「オルタナティブから見るKavli IPMU AIRプログラム」

出演:小川希(Art Center Ongoing, 代表)
日時:3/25 (日) 14:00-15:30
会場:カマタ_ソーコ
定員:40名
料金:無料
申込:不要 (但し、当日先着順にて整理券配布。定員に達し次第締切)

ガイドツアー

出演:本展企画者
日時:毎週火曜日14:00-14:30
会場:カマタ_ソーコ
定員:20名
料金:無料
申込:不要 (但し、当日先着順にて整理券配布。定員に達し次第締切)

オープニングパーティー

日時:3/9 (金) 19:00
会場:カマタ_ソーコ
定員:無し
料金:無料
申込:不要

Kavli IPMU ×(かける)コレクション とは

基礎科学/純粋科学に分類されるKavli IPMUの研究者と他分野の専門家との交流を試みるシリーズです。過去のイベントはこちら


(※注):蒲田という場が秘めている「ものづくり」の可能性を最大限に活用し、クリエイターの、クリエイターによる、クリエイターのための制作環境を生み出すことを目的としたプロジェクトの名称。 街中に点在する制作に必要な機材や空間をシェアし、蒲田全体を大きなシェアオフィスに見立てて活用。将来的には、地域の町工場や、外部の地域に根ざした実践との協力・連携を進めていこうとしている。カマタ_ソーコは、@カマタの運営する古い倉庫を利用したイベントスペースの一つ。http://www.atkamata.jp/