2023年7月18日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構（Kavli IPMU）の横山広美教授/副機構長の主導する Score ELSI プロジェクトに対する、米国カブリ財団からの支援が決定しました。横山教授らの研究グループは2020年以降、 先端科学技術、なかでも AI (人工知能) 技術に対して人々が感じる倫理的・法的・社会的課題 (Ethical Legal and Social Issues：ELSI) を数値で可視化する測定手法の研究を Score ELSI プロジェクトと呼び行ってきました。そして、 「オクタンゴン測定」と呼ばれる手法や、アジア、米国、欧州の複数の国のデータに基づくデータ駆動型分析により ELSI について似た意見を持つ人々をグループ化した「AI ELSI セグメント」など、既にいくつかの測定手法を開発しています。
今回決まったカブリ財団の支援は2年の予定で、資金は研究グループが次の段階として行おうとしている気候工学と AI ウェアラブル端末に対する ELSI の調査に生かされ、2年以内にデータ駆動型の分析を開始する予定です。
横山広美教授/ Kavli IPMU 副機構長は今回のカブリ財団からの支援について下記のように述べています。
「このプロジェクトでは、気候工学と AI という一見異なる問題を扱います。しかしいずれも、人間と社会が今まさに直面している重要な案件です。私たちはこれらのトピックスを、アジアの視点を入れたデータ駆動型の ELSI 研究によって推進したいと思っています。」
なお、データ駆動型分析においては、2023年4月に Kavli IPMU に立ち上げられた新センター「データ駆動型探究センター」（Center for Data-Driven Discovery ：CD3）のデータサイエンスの研究者らとの共同研究も予定されています。CD3 所長である Jia Liu（ジア リウ）Kavli IPMU 特任准教授は、「データ駆動型探究センターでは、AI とデータサイエンスの革新的な活用を通して、宇宙への理解を深めるべく研究をおこなっています。AI が持つ強大な力には、重い責任が伴うことも認識しています。横山教授らの研究プロジェクトは、AI と物理学に関する私達の学際的研究に重要な指針を与えてくれると期待しています」と述べています。
また、大栗博司 Kavli IPMU 機構長は、「カブリ財団が横山教授の研究の重要性を認め、この分野の新しいプロジェクトを支援してくださることを決めたことを嬉しく思い、財団に感謝します。カブリ財団はすでにカリフォルニア大学バークレイ校とケンブリッジ大学の2つに倫理、社会、公共のカブリ研究センターを設立しており、横山教授のグループは、ELSI研究に多様な視点を導入することに役立つと共に、センターの活動や財団が支援する他の取組みを補完することになるでしょう。研究プロジェクトの進展に期待しています」と述べています。
研究グループは、科学技術社会論、倫理学、仏教学、物理学など、さまざまな研究背景を持つ10人のメンバー (下記参照) で構成され、2023年7月から研究をスタートさせる予定です。
*研究代表者*
横山広美 (よこやま ひろみ) 東京大学国際高等研究所カブリ連携宇宙研究機構 教授/副機構長
一方井祐子 (いっかたい ゆうこ) 金沢大学人間社会研究域人間科学系 准教授
大栗博司 (おおぐり ひろし) 東京大学国際高等研究所カブリ連携宇宙研究機構 機構長/カリフォルニア工科大学 フレッド・カブリ冠教授
神崎宣次 (かんざき のぶつぐ) 南山大学国際教養学部国際教養学科 教授
木下翔太郎 (きのした しょうたろう) 慶應義塾大学医学部 特任助教
佐々木閑 (ささき しずか) 花園大学文学部仏教学科 教授
杉山昌広 (すぎやま まさひろ) 東京大学未来ビジョン研究センター 准教授
高梨直紘 (たかなし なおひろ) 東京大学エグゼクティブ・マネジメント 特任准教授
Tilman Hartwig (ティルマン ハートウィグ) ドイツ連邦環境庁 チーフデータサイエンティスト
松山桃世 (まつやま ももよ) 東京大学生産技術研究所 准教授
（研究内容について）
横山 広美（よこやま ひろみ）
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 教授/副機構長
E-mail: hiromi.yokoyama_at_ipmu.jp
*_at_を@に変更してください
（報道に関する連絡先)
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 広報担当 小森 真里奈
E-mail：press_at_ipmu.jp
TEL: 04-7136-5977
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