超広視野多天体分光器 PFS の共同利用開始を目指して

2024年4月26日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU, WPI)

 

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI) を中心に、国立天文台も参加する国際共同研究チームは、すばる望遠鏡に搭載される超広視野多天体分光器 PFS (Prime Focus Spectrograph) の起ち上げ作業を進めています。ハワイのマウナケア山頂施設 (すばる望遠鏡) へ観測装置を持ち込んで組み上げつつ、2021年9月から望遠鏡に取り付けての動作試験や試験観測を行ってきました。PFS は光ファイバーを通して最大約2400天体のスペクトルを同時に取得します。2023年には4本のファイバーケーブルと4台の分光器が全てそろい、約2400本のファイバー全てのスペクトル画像が取得できるようになりました。装置の起ち上げもいよいよ大詰めを迎えています。

図1. 山頂施設に4台そろった分光器(Credit:PFS プロジェクト、国立天文台)

現在、PFS プロジェクトチームは、ハワイ時間2024年3月8〜17日に行われた試験観測で取得したデータを鋭意解析中です。ファイバーの配置精度や装置効率など、装置やデータの様々な特性理解を進めつつ、データ解析ソフトウェアの改良や共同利用観測にむけての実証試験を進めています。

図2. 2024年3月に行われた試験観測での、すばる望遠鏡観測室の様子。山麓ヒロと三鷹のリモート観測室、zoom からの参加も合わせて、10人以上のチームメンバーが参加した。(Credit:PFSプロジェクト、国立天文台)

 

PFS は、今後2024年5月〜6月に2度予定されている試験観測およびその後の準備・調整期間を経て、2025年前期 (2月から) の科学運用開始を目指しています。

 

※ PFS 共同研究機関
・東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
・国立天文台
・中央研究院天文及天文物理研究所
・カリフォルニア工科大学
・NASA ジェット推進研究所
・マルセイユ天文物理研究所
・プリンストン大学
・ジョンズ・ホプキンス大学
・サンパウロ大学
・ブラジル宇宙物理実験局
・マックス・プランク宇宙物理学研究所
・マックス・プランク地球外物理学研究所
・上海交通大学
・中国科学院国家天文台
・清華大学
・中国科学技術大学
・厦門大学
・北京大学
・コロンビア大学
・タフツ大学
・コネチカット大学
・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
・ピッツバーグ大学
・マサチューセッツ大学アマースト校
・ペンシルベニア州立大学
・ノースウェスタン大学

 

関連記事
2022年11月11日
主焦点分光器、多くの星の光を一度にとらえる重要なテストマイルストーンに到達 − PFSエンジニアリング・ファーストライト! −

関連リンク
PFS の共同利用開始を目指して (2024年4月25日 ハワイ観測所 トピックス)
試験観測がありました (2024年4月12日 PFS ブログ)
PFS のエンジニアリング・ファーストライト!~多くの星の光を一度にとらえる重要なマイルストーンに到達~ (2022年11月10日 ハワイ観測所 トピックス)
超広視野多天体分光器 PFS (すばる2 主力装置)
PFSプロジェクトウェブサイト