XMASS実験グループが最新結果を発表

 2015年9月8日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構  (Kavli IPMU)


XMASS検出器の入った銅製容器を取り囲む水タンクの様子 (C) 東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設XMASS検出器の入った銅製容器を取り囲む水タンクの様子 (C) 東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設

鈴木洋一郎 (すずき・よういちろう) Kavli IPMU 特任教授が率いる XMASS (エックスマス) 実験グループは最新結果を発表しました。XMASS 実験は、
岐阜県飛騨市神岡の地下1000mに設置した検出器を用いてダークマターの探索を行っています。

今回、2013年11月から2015年3月までの1年4ヶ月間のデータを用いて、ダークマターの候補の中でも通常の物質と極めて反応しにくい未知の素粒子 WIMP  (Weakly Interacting Massive Particle)  で
且つ「質量の軽い」候補の観測量の季節変化と、ダークマターを WIMP など特定の候補と絞らない場合の季節変化の両方について解析を行いました。

これまでの研究で、我々の太陽系が属する天の川銀河内での太陽系の運動と太陽の周りを回る地球の公転運動によって、ダークマターの観測量には季節変動が現れると考えられています。なかでも、イタリアのグランサッソの地下1400mで行われている DAMA/LIBRA 実験は、WIMP のうち「質量の軽い」候補の観測量が季節変化していることを示唆しています。しかしながら、今回発表されたXMASS実験の最新成果は、 DAMA/LIBRA 実験の従来結果を否定する結果を示しています。



一方、ダークマターを WIMP など特定の候補と絞らない場合の季節変化については、低いエネルギーの領域では季節変化のような効果も弱くみられましたが、統計的に有意ではありませんでした。今後、さらなるデータの収集と解析による研究の進展が期待されます。

本研究成果は9月7日よりイタリアトリノで開催中の国際会議 Topics in Astroparticle and Underground Physics (TAUP) 2015において発表されました。近く論文としてまとめられ投稿される予定です。
 

詳しくは XMASS 実験ホームページの下記リンクをご覧下さい。
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/xmass/whatsnew/whatsnew-20150907.html
 

研究内容について:

鈴木洋一郎(すずき・よういちろう)
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 副機構長 / 主任研究員 / 特任教授
E-mail: yoichiro.suzuki_at_ipmu.jp *_at_を@に変更してください
 

関連リンク

XMASS 実験のホームページ (日本語版)
TAUP 2015 のホームページ (英語)