大栗博司主任研究員 アメリカ数学会の初代フェローに

2012年11月2日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(略称:Kavli IPMU)

東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)主任研究員で、カリフォルニア工科大学のカブリ冠教授の大栗博司氏が、アメリカ数学会(American Mathematical Society, AMS)の初代フェローの一人に選ばれました。アメリカ数学会が今年度より開始したフェロープログラムでは、数学の新分野の創設、発展、振興、他分野との連携、活用などへの顕著な貢献によりフェローに選出された研究者が、数学の発展のための牽引役、数学会の会長および評議会への助言役、新たなフェローの選出役などを担います。今回選出された初代フェローは、2013年1月に米国サンディエゴで開催されるアメリカ数学会、アメリカ数学協会 (Mathematical Association of America, MAA)合同会合で正式に任命される予定となっています。また、初代フェローのリストは、アメリカ数学会ホームページに掲載されております(URL: http://www.ams.org/profession/fellows-list)。

大栗博司主任研究員は素粒子論が専門で、一般相対性理論と量子力学を融合する超弦理論を使って、高エネルギー物理学、天体物理学、宇宙論に関連した問題を解き明かすための理論的手法の開発に取り組んでいます。超弦理論は、10の35乗分の1メートルという微細な構造(いわゆるプランクスケール)の物理現象を記述する数学的枠組みの最有力候補とされています。また、大栗主任研究員はカリフォルニア工科大学では物理学と数学の両学部の教授であり、アメリカ数学会のアイゼンバッド賞の初代受賞者に選ばれるなど、物理学者でありながら数学における業績も非常に高く評価されています。

大栗主任研究員の談話
「3万人以上の会員を擁するアメリカ数学会の初代のフェローに選ばれ、光栄に思います。これを励みに、物理学や数学の研究にさらに精進します。」

Kavli IPMU 村山斉機構長の談話
「これは大変めでたいニュースです。私もアメリカ物理学会のフェローに選ばれましたが、研究者のコミュニティーで主要メンバーとしての『お墨付き』を戴いたと思っています。アメリカ数学会はこの伝統がなく、今年初めてのことなので、特に慎重に候補者を選んだに違いありません。そこに物理学者である大栗氏が 入ることは、アメリカ数学会が物理学との連携を大事に思っていることの証拠であるだけでなく、大栗氏の数学への大きなインパクトを物語っています。バークレイでも Kavli IPMU でも同僚・先輩である大栗氏を大変誇りに思います。」

 

大栗博司氏略歴:
学歴
1984年:京都大学理学部卒業
1986年:京都大学大学院修士課程修了
1989年:東京大学より理学博士号を授与される
 
職歴
1986 - 1989年:東京大学理学部物理学教室助手
1988 - 1989年:プリンストン高等研究所研究員
1989 - 1990年:シカゴ大学物理学教室助教授
1990 - 1994年:京都大学数理解析研究所助教授
1994 - 2000年:カリフォルニア大学バークレイ校教授
1996 - 2000年:ローレンス・バークレイ国立研究所上級研究員を併任
2000年より:カリフォルニア工科大学教授
2007年より:カリフォルニア工科大学カブリ冠教授
2007年より:東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)主任研究員
 

受賞歴
2008年:第1回アイゼンバッド賞(アメリカ数学会)
2008年:第4回高木レクチャー(日本数学会)
2009年:フンボルト賞(アレキサンダー・フォン・フンボルト財団)
2009年:仁科記念賞(仁科記念財団)
2012年:サイモンズ研究賞(サイモンズ財団)  

著書
「重力とは何か」(幻冬舎新書)
「素粒子論のランドスケープ」(数学書房)
 
ホームページ
http://db.ipmu.jp/member/personal/769ja.html
http://www.theory.caltech.edu/~ooguri/index_j.html
 

お問い合わせ先:

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