高田昌広 副機構長が令和7年度文部科学大臣表彰科学技術賞 (研究部門) を受賞

2025年4月8日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI)
 

高田昌広 Kavli IPMU 副機構長

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI) の高田昌広 (たかだ まさひろ) 副機構長が令和7年度文部科学大臣表彰科学技術賞 (研究部門) の受賞者に選ばれました。
 

文部科学大臣表彰科学技術賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に対し、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。なかでも、研究部門は日本の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は発明を行った個人又はグループを対象としています。2025年4月15日に文部科学省で表彰式が行われる予定です。
 

今回の受賞理由は「すばる望遠鏡データによる精密宇宙論の研究」です。高田副機構長は、すばる望遠鏡超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (HSC) での観測や物理解析の立案を行うサイエンスワーキンググループのリーダーとして国際共同研究プロジェクトを主導してきました。そして、大量の銀河の重力レンズ効果による形状の歪みを解析し、宇宙標準理論の検証を行ったほか、ダークマターの候補の一つとされる原始ブラックホールの探索を行い、幅広い質量範囲で原始ブラックホールの存在量に厳しい制限を課すことに成功するなど国際的に高く評価される多数の研究成果をあげてきました。これらにより、日本が主導するすばる望遠鏡の持つ威力を国内外に広く示すことに貢献したほか、宇宙論研究においては理論研究が主流であった日本において、観測結果に立脚した実証科学的な観測的宇宙論の研究分野を確立し、世界の第一線へと押し上げました。
 


受賞にあたり高田副機構長は、「今回、名誉ある文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞させて頂いたのは、すばるHSCチームを代表して頂いたと思っています。村山さんをはじめ、これまでご指導・ご鞭撻を賜りました先生方に、心より深く感謝申し上げます。また、多くの共同研究者の皆様にも、感謝申し上げます。さらに、長年にわたり支えてくれた家族にも、心より感謝します。今年から、すばるプロジェクトの第二弾である Prime Focus Spectrograph(PFS)を用いた宇宙の分光観測が始動します。これは単なる続編ではなく、すばるHSCと組み合わせることで、宇宙論研究の飛躍的な進展が期待されるプロジェクトです。初心に立ち返り、少しでも貢献できるよう頑張ります。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いします。ダークエネルギーが本当に時間変化するのかどうか、その解明に挑戦します!」と述べています。
 


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関連リンク
令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者の決定等について (文部科学省のページ)

科学技術賞 受賞者一覧 (文部科学省のページ)