2008年度日本天文学会賞林忠四郎受賞 --杉山直主任研究員--

受賞理由は以下の通りです。

 

「宇宙マイクロ波背景放射に関する理論的研究」 (Theoretical study of Cosmic Microwave Background Radiation (CMB))

 

杉山直氏は、膨張宇宙での密度・温度揺らぎの時間発展を数値的に解き、宇宙マイクロ波背景放射の温度揺らぎの詳細かつ精密な理論的予想を得ることに成功した。これは精密宇宙論の先駆的研究であり、これによって初めて、宇宙モデルの検定を温度揺らぎという実際の観測量で行うことが可能となった。特に、宇宙の空間曲率を制限できることを示した研究は高く評価されている。また、温度揺らぎ生成の物理素過程を明らかにし、温度揺らぎの空間パターンが、空間曲率、物質密度、元素量などの宇宙論パラメターにどのように依存するかについて明快な説明を与えた。同氏は宇宙論、宇宙背景放射の揺らぎ、大規模構造の形成、宇宙の熱史などの分野に精力的に取り組んでおり、更なる活躍が期待される。

【参考URL】日本天文学会