2015年3月3日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)
ドイツにあるマックスプランク天体物理学研究所所長で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構客員上級科学研究員の小松英一郎 (こまつ えいいちろう) 氏が2014年度の林忠四郎賞を受賞しました。
林忠四郎賞は初期宇宙の元素合成、星の進化、太陽系の起源等などの多岐にわたる研究で偉大な業績を挙げた理論天体物理学者の林忠四郎博士の京都賞受賞を記念して1996年度に設けられた賞で、惑星科学や天文学、宇宙物理学に関する分野において優れた研究業績をあげた研究者を表彰することを目的としています。2015年3月18日から21日に大阪大学豊中キャンパスで開催される日本天文学会の場で授賞式と受賞記念講演が行われる予定です。
今回受賞対象となった研究は「宇宙マイクロ波背景放射に基づく精密宇宙論の開拓」です。小松氏は2001年から2010年まで宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) の精密観測を行った WMAP (ダブリュ・マップ) 衛星の実験グループに参加してきました。WMAPは、現在の宇宙論の枠組みとなる宇宙の組成比や宇宙進化に関わる重要なパラメータ (暗黒物質の密度やハッブル定数など) を決定し、さらに、宇宙初期に起こったとされる急激な加速膨張(インフレーション)理論の観測的検証に大きな貢献をしています。小松氏は WMAP の論文の筆頭著者を努めるなど、主要メンバーとしてデータ解析やデータの理論的解釈を率い宇宙物理学分野の発展に寄与してきたことが評価されました。
今回の授賞について小松氏は以下のように述べています。
「このたび、WMAPチームの成果が認められ、日本天文学会林忠四郎賞をいただくことになり、大変光栄です。推薦してくださった先生方、選考に関係された先生方、また、これまでご指導いただいた先生方に感謝いたします。この賞は、私個人に与えられるものではなく、WMAP サイエンスチーム全体に与えられるものだと思っています。WMAP は終了しましたが、この賞を励みとして、より一層宇宙論の研究に取り組んでいきます。」
小松英一郎氏 略歴
2001年 東北大学大学院理学研究科天文学専攻博士課程後期修了
2001年 プリンストン大学博士研究員(WMAP フェロー)
2003年 テキサス大学天文学科助教授
2008年 テキサス大学天文学科准教授
(2008年2月- 2010年8月 東京大学数物連携宇宙研究機構客員科学研究員)
2009年-2012年 テキサス宇宙論センター所長
2010年-2012年 テキサス大学天文学科教授
(2010年8月- 現在 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構客員上級科学研究員)
2012年8月 マックスプランク宇宙物理学研究所所長
関連リンク
2014年度 日本天文学会各賞について
林忠四郎賞歴代受賞者
小松英一郎氏 ウェブページ
マックスプランク宇宙物理学研究所
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