羽澄昌史 特任教授を拠点長とする量子場計測システム国際拠点が高エネ研に発足

2021年10月14日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)

 

2021年9月28日、日本学術振興会は世界トップレベル研究拠点プログラム (WPI) 令和3年 (2021) 度審査結果を発表し、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 特任教授を兼ねる高エネルギー加速器研究機構の羽澄 昌史 (はずみ・まさし) 教授を拠点長とする「量子場計測システム国際拠点 (International Center for Quantum-field Measurement Systems for Studies of the Universe and Particle, 英名略称 QUP) 」が選ばれました。
 

世界トップレベル研究拠点プログラム (WPI) は、システム改革導入等の自主的な取組を促す支援により、国内外の第一線の研究者が多数集まる優れた研究環境の創出と、異分野融合によるきわめて高い水準の研究を行う「世界から目に見える研究拠点」の形成を目指して、2007年より文部科学省の事業として開始されました。2021年9月末時点で、東京大学に2007年に発足した Kavli IPMU をはじめとする13の拠点が WPI に選ばれ支援を受けてきました。
 

今回14番目の新規採択拠点に採択された量子場計測システム国際拠点は、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構 (KEK) に発足します。新規拠点では、素粒子物理学・宇宙物理学、物性物理、量子ビーム科学、計測科学、システム科学の研究者が一堂に会して融合研究を行うことで、新しい計測システムを発明・開発し、宇宙観測や素粒子実験における計測システムに革新をもたらすとともに、宇宙・素粒子・時空の謎を解くことを目的としています。さらには、社会還元を第一目標とする研究者も参画することで、「新しい手段」として開発された計測システムを社会実装する研究も併せて進め、応用分野や社会貢献も果たそうとしています。逆に、社会実装技術から宇宙観測への技術移転も期待されています。
 

羽澄特任教授は、宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) の偏光の観測からインフレーション仮説の証拠となる「原始重力波」の痕跡の検出を目指す LiteBIRD (ライトバード) 衛星計画の主任研究者も務めており、量子場計測システム国際拠点の旗艦プロジェクトの一つと位置づけられています。LiteBIRD には Kavli IPMU も参画しており、新規拠点との密接な研究協力が進められる予定です。
 

羽澄 昌史 特任教授は、量子場計測システム国際拠点の発足と拠点長就任に関して下記のように述べています。

「私は QUP の発足に胸が高鳴っています。拠点長として、主任研究員をはじめとする研究者の方々の飛躍的な挑戦をサポートしたいと思います。また、トヨタグループの研究協力を得て、社会実装に向けた新たな研究を行うことも楽しみです。また、 私自身も主任研究員の一人として、私が発案した QUP の旗艦プロジェクトである LiteBIRD 衛星に取り組みます。」

 
詳細については、高エネルギー加速器研究機構のプレスリリース記事も併せてご覧ください。
 

関連リンク
世界トップレベル研究拠点プログラム (日本学術振興会のページ)
KEKに世界トップレベルの国際研究拠点が発足! ~宇宙・素粒子研究の今後の進展に期待~ (高エネルギー加速器研究機構のプレスリリースのページ)