高柳匡 客員上級科学研究員が 2024年 ICTP ディラック・メダルの受賞者に選出

2024年9月20日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU, WPI)

 

Kavli IPMU 客員上級科学研究員の 高柳匡 (たかやなぎ ただし) 氏(Credit:Tadashi Takayanagi)

京都大学基礎物理学研究所教授で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI) 客員上級科学研究員の高柳匡 (たかやなぎ ただし) 氏が2024年の ICTP ディラック・メダルの受賞者の一人に選ばれました。

ICTP ディラック・メダルは、イタリアの国際理論物理学センター (ICTP) の支援者の一人であり偉大な理論物理学者であった ポール・ディラック 氏の功績を称えて1985年に ICTP が創設した賞です。理論物理学に多大な貢献を果たした研究者に対して与えられるもので、ディラック氏の誕生日にあたる8月8日に毎年受賞者が発表されます。

今回の受賞理由は「量子重力理論および場の量子論における量子エントロピーに関する洞察」で、量子もつれに関する様々な側面について先駆的な貢献をしてきた高柳氏を含む4名の研究者が選ばれました。高柳氏は、今回同時に受賞者として選ばれた米国プリンストン大学教授の笠真生氏と共に2006年に「エンタングルメント・エントロピーのホログラフィック公式」を発表し、ミクロな世界の量子情報理論とマクロな世界を記述する重力理論の深い結びつきを明らかにしました。現代では、「笠-高柳公式」という名で広く知られ、理論物理学における重要な公式として確立しています。

高柳氏は、2008年から2012年まで特任准教授として Kavli IPMU に在籍しており、現在は Kavli IPMU に客員上級研究員として所属。京都大学基礎物理学研究所の教授として量子重力理論の新しい記述法を模索するべく、超弦理論、物性理論、量子情報理論などの多角的視点から研究を行っています。


受賞にあたり高柳氏は、「この度、理論物理学における著名な国際賞を頂き、極めて光栄に思っております。共同受賞者である笠さんには、これまで20年近く、刺激に富む様々な議論をさせていただいた共同研究者かつ親友として、またCasiniさんとHuertaさんには、この分野が芽生える頃からの素晴らしい研究仲間として、心より大変感謝しております。これを最高の励みとして、さらにスケールの大きな研究に取り組んでいきたいと思います」と述べています。
 

関連リンク
DIRAC MEDAL 2024 (2024年のディラック・メダル受賞者)
The Dirac Medal (ディラック・メダルについて)
高柳匡氏のウェブページ


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