プライム・フォーカス・スペクトログラフ (PFS)

PFS (Prime Focus Spectrograph) プロジェクトでは、すばる望遠鏡次世代観測装置の一つとなる超広視野多天体分光器を開発しています。PFS は、すばる望遠鏡主焦点で確保される対角長約1.38度の6角形の視野内に約2400本のファイバーを天体が写る位置に正確に配置して光を取り込み、380nm から 1260nm までの波長域(すなわち可視域全般から近赤外域の一部)に亘るスペクトルを一挙に取得する装置です。すばる望遠鏡にPFSを搭載することで、望遠鏡の8.2m 直径の主鏡による「大集光力」、主焦点の「超広視野」、そしてPFSの「多天体」と「幅広い波長域」の非常に強力な組み合わせが実現し、世界的にも類を見ない効率で分光観測を遂行できるようになります。

PFS プロジェクトは7か国にまたがる10以上の研究機関により構成されています。その先頭に立ってリードしているのがカブリ数物連携宇宙研究機構(IPMU)で、主任研究者村山斉 (前機構長)、主任研究者高田昌広、特任准教授田村直之がそれぞれPFSプロジェクトの中心研究者、プロジェクトサイエンティスト、プロジェクトマネージャーとして中心的な役割を果たし、分光装置開発や、約5年300夜に及ぶ大規模サーベイ計画の立案を他のカブリIPMUメンバーとともにリードしています。装置開発はいよいよ佳境を迎え、2018 年にはサブシステムの先陣を切ってメトロロジカメラがハワイのマウナケア山頂にあるすばる望遠鏡のサイトへ輸送され、2018 年 10 月と 2019 年 8 月の2回にわたる夜間試験を通して無事に性能の確認ができました。さらに 2019 年 10 月には1台目の分光器モジュールが開発の行われていたフランスの共同研究機関から出荷され、12 月にマウナケア山頂で行われた作業で無事に組み上げを完了しました。今後は、2020年に試験観測の開始を、2022年に本格的なサーベイ観測の開始を目指していきます。
(Last update: 2020/01/06)

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