大栗博司 Kavli IPMU 機構長が紫綬褒章を受章

2019年11月2日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)

 

政府は、秋の褒章受章者を2019年11月3日付発令として発表し、カリフォルニア工科大学教授を兼ねる東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の大栗博司 (おおぐりひろし) 機構長が紫綬褒章受章者の一人に選ばれました。紫綬褒章は、明治14年 (1881年) に制定された褒章条例の流れを組み、昭和30年 (1955年) に黄綬褒章と共に新しく制定された褒章の一つで、「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた者」に贈られます。現在では春と秋の年2回の発令があり、秋の褒章は明治天皇ご誕生の日にあたる11月3日の文化の日を発令日としています。

受章にあたり、大栗機構長は「小学校から大学院まで公教育で私を教え育んでくださり、また研究を支援してくださった日本国政府から褒賞をいただけることを光栄に思います。基礎科学の研究を職業とできたことは、誠に幸運でした。これを励みに、素粒子論の研究をさらに進めるとともに、カブリ数物連携宇宙研究機構の機構長として日本の基礎科学の振興にもさらに尽力します」と述べています。

また、Kavli IPMUを支援する米国カブリ財団のロバート・コン理事長は、今回の受章に際し、「大栗博司氏の数々の業績と科学への貢献が評価され、日本の最も権威ある栄誉のひとつである紫綬褒章が授けられることを、とても嬉しく思います。私どもは、大栗氏がカブリ数物連携宇宙研究機構の機構長であることを通じて、彼が世界最高の科学者の一人であることを知っています。彼がカブリ数物連携宇宙研究機構を率いてくださっていることは、カブリ財団の我々も大変誇りに思います。大栗氏がこのような栄誉ある褒章を受章されたことを、心からお祝い申し上げます」とのコメントを寄せています。

2019年12月17日に褒章伝達式が実施された後、褒章を着用して皇居にて天皇陛下に拝謁の予定です。

大栗氏の経歴等

学歴
1984年:京都大学理学部卒業
1986年:京都大学大学院修士課程修了
1989年:東京大学より理学博士号を授与される

職歴
1986 - 1989年:東京大学理学部物理学教室助手
1988 - 1989年:プリンストン高等研究所研究員
1989 - 1990年:シカゴ大学物理学教室助教授
1990 - 1996年:京都大学数理解析研究所助教授
1996 - 2000年:カリフォルニア大学バークレイ校教授
1996 - 2000年:ローレンス・バークレイ国立研究所上級研究員を併任
2000年より:カリフォルニア工科大学教授
2007年より:カリフォルニア工科大学カブリ冠教授
2007年より:東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)主任研究者
2014年より:カリフォルニア工科大学ウォルター・バーク理論物理学研究所の初代所長に就任
2016年- 2019年:アスペン物理学研究所所長
2018年より:東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)機構長に就任 (10月15日付)


受賞歴
2008年:第1回アイゼンバッド賞(アメリカ数学会)
2008年:フンボルト賞(アレキサンダー・フォン・フンボルト財団)
2008年:第4回高木レクチャー(日本数学会)
2009年:仁科記念賞(仁科記念財団)
2012年:第1回サイモンズ研究賞(サイモンズ財団)
2012年:アメリカ数学会フェローに選出  
2014年:科学出版賞(講談社)
2016年:科学監修を務めた映像作品『9次元からきた男』が最優秀教育作品賞(国際プラネタリウム協会)を受賞
2016年:中日文化賞(中日新聞)
2016年:アメリカ芸術科学アカデミー会員に選出
2018年:ハンブルク賞

 

関連リンク

日本の勲章・褒章 (内閣府のページ)

褒章の種類及び授与対象 (内閣府のページ)

大栗博司氏のホームページ