超新星

超新星は星がその一生を終える時に起きる爆発である。重い星(たとえば太陽の十倍以上の重さ)が重力崩壊を起こし、多量のニュートリノを放出して中性子星またはブラックホールを形成するのがコア崩壊型超新星(II型、Ib型、Ic型)である。熱核反応超新星(Ia型)は白色矮星の中で起きる核反応によって引き起こされる。

超新星はニュートリノ物理学などさまざまな、ときには地上実験では不可能な、物理現象研究のための実験室を提供してくれる。さらに超新星は宇宙に存在する重い元素の大部分を生成する。それ無しでは宇宙の核子は水素、ヘリウム、それに若干の他の元素だけだったであろう。実際には宇宙はおよそ百種類の元素で満たされている。爆発の際に発生するエネルギーは莫大で、銀河の形成や進化で重要な役割を果たすことがある。その性質を理解することの重要性は、超新星が宇宙スケールの距離を測る上での「標準光源」として使われ、暗黒エネルギー発見に繋がったことに顕著に表れている。また最近では連星中性子星・ブラックホール合体からの重力波検出が大きな注目を浴びており、それらの親星の進化および超新星爆発メカニズムの理解が急務となっている。

超新星の理解はまだまだ不十分で、さまざまな研究が進行中である。カブリIPMUでは観測と理論的研究の両面からほとんどすべての分野;星から超新星への進化、爆発過程の理論、神岡でのニュートリノ観測、鉄やさらに重い元素までの核合成、塵粒の形成、発光の仕組みと「標準光源」、すばる望遠鏡の最先端の観測装置であるハイパー・シュプリーム・カム(HSC)を使った大規模サーベイ、を網羅している。特に最近では宇宙で最初に誕生した恒星である初代星の起こす超新星爆発の物理的性質、宇宙初期の構造形成・化学進化に与えた影響、さらに背後に残されるコンパクト天体(中性子星・ブラックホール)の性質について、数値シミュレーションや銀河系に含まれる古い恒星系の観測など様々なアプローチを通して精力的に研究が行われている。こうした研究は次世代観測装置による高赤方偏移超新星や重力波の観測と比較する上で非常に重要である。これらの研究を統合して超新星とその宇宙進化への影響の包括的理解を目指す。
(Last update: 2018/05/21)

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