Kavli IPMU大栗博司機構長が国際学術講演賞を受賞

2022年9月27日
カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)

国際学術講演賞は、千葉大学理学部が理学部後援会の⽀援により、毎年国際的に著名な研究者に授賞するものです。授賞式と講演会は、2005年以降、東日本大震災があった2011年と新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年を除き、毎年開催されています。受賞者には「Science Lectureship Award 授賞式」において賞状と記念メダルが贈呈されます。受賞者は、最新の学術・研究を踏まえた講演を行い、授賞式と講演会終了後には、交流会が開かれ、歓談及び質疑応答などが行われます。

カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)機構長で、カリフォルニア工科大学のフレッド・カブリ理論物理学・数学教授である大栗博司(おおぐり ひろし)氏が、千葉大学理学部から2022年度国際学術講演賞(Science Lectureship Award)を受賞することが決定しました。

「 国際学術講演賞 の受賞を光栄に思います。私の講演が千葉大学理学部の学生の皆さんの参考になれば幸いです。」と大栗氏は述べています。

過去の受賞者には、ノーベル賞受賞者であるKavli IPMUシニアフェローの梶田隆章氏(2016年)に、テキサス大学オースティン校教授および名古屋大学 WPI トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の鳥居啓子教授(2015年)などがいます。

2022年度国際学術講演賞の講演会と授賞式は、10月17日(月)14:30ー16:30に千葉大学けやき会館大ホールおよびオンライン中継で行われます。大栗氏は「 量子重力の条件」"Constraints on Quantum Gravity" と題した講演も行う予定です。

アブストラクト:
量子力学と一般相対性理論の統合を目指す量子重力理論の完成は、20世紀からの宿題として残された物理学の最も重要な課題のひとつである。量子重力理論は、非常に高いエネルギーの現象についての予言しか与えないので、実験的検証は困難であると言われてきた。しかし、この10年ほどの間に低エネルギー有効理論に関するいくつかの制限が見つかってきた。この談話会では、まず量子力学と一般相対性理論の統合がなぜ難問であるかを解説する。この統合の重要なヒントであるホログラフィー原理を説明した後、それを使って量子重力の対称性に関する制限を導く。また、スワンプランド条件と呼ばれる量子重力の低エネルギー有効理論に関する一連の制限を紹介し、これらの条件が素粒子物理学や宇宙論にもたらす新しい視点や、今後10年に予定されている実験や観測に関する予言について議論する。


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