第28回(2011年度)井上学術奨励賞受賞--田中雅臣氏--

2011年11月までIPMUに特任研究員として在籍した田中雅臣氏(現:大学共同利用機関法人自然科学研究機構 国立天文台助教)が 第28回井上研究奨励賞を受賞しました。  

この賞は、過去3年間に理学・工学・医学・薬学・農学等の分野で博士の学位を取得した35歳未満の研究者で、自然科学の基礎的研究において新しい領域を開拓する可能性のある優れた博士論文を提出した研究者に贈呈されるものです。

広い自然科学分野全体で、今年は田中氏を含めた30名のみが受賞し、2012年2月3日に贈呈式が行われました。

受賞業績の題目:「超新星爆発の三次元構造」

田中雅臣助教(国立天文台)田中雅臣助教(国立天文台)

 田中氏は、超新星爆発という宇宙における星の巨大爆発に関して、理論的・観測的両方の手法により研究を行い、2009年に博士論文「超新星爆発の三次元構造」を提出し、東京大学で博士の学位を取得しました。
超新星爆発は恒星が一生の最期に起こす大爆発です。
我々の周りにある炭素、酸素、鉄などの重元素の大部分は、恒星の内部で合成され、超新星爆発によって宇宙空間にばらまかれたと考えられており、超新星爆発は宇宙の進化を理解するために重要な天体です。
しかし、その爆発のメカニズムは半世紀以上にわたって謎のままで、天文学の重要な未解決問題となっています。

田中氏は博士論文で、超新星爆発から期待される放射をシミュレーションによって明らかにしました。
また、理論的な予想に基づき、すばる望遠鏡を使って超新星爆発が放つ光の偏光を観測することで、超新星爆発がまん丸でなく、三次元的な形状をもっていることを明らかにしました。
近年、多次元的な形状が超新星爆発の成功の鍵となる可能性が注目されており、田中氏が博士論文にまとめた研究成果は、超新星爆発のメカニズムの理解に重要な貢献を果たしています。

 

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