中家剛客員上級科学研究員と塩澤眞人上級科学研究員が 第6回戸塚洋二賞受賞

 

中家剛 氏中家剛 氏 塩澤眞人 氏塩澤眞人 氏

京都大学大学院理学研究科教授で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) 客員上級科学研究員の中家剛(なかや つよし)氏と東京大学宇宙線研究所教授で Kavli IPMU 上級科学研究員の塩澤眞人 (しおざわ まさと) 氏が第6回 (2014年度) 戸塚洋二賞を受賞しました。中家氏と塩澤氏は高エネルギー加速器研究機構 (KEK) 素粒子原子核研究所教授の小林隆 (こばやし たかし) 氏と共にT2K 実験 (東海-神岡間長基線ニュートリノ振動実験) 国際共同研究グループを率いており、今回の戸塚洋二賞は中家氏、塩澤氏と小林氏 3名の共同受賞となります。


戸塚洋二賞は、大気及び太陽ニュートリノのニュートリノ振動を発見するなどニュートリノに関する研究で偉大な業績を挙げた素粒子実験物理学者の戸塚洋二博士の功績を記念して2009年度に設けられた賞で、ニュートリノ実験をはじめとした素粒子実験や関連する理論研究分野において優れた研究業績をあげた研究者を表彰することを目的としています。表彰式は2015年3月21日に東京大学小柴ホールで行われる予定です。

今回受賞対象となった研究は「加速器ミューニュートリノビームによる電子ニュートリノ出現現象の発見」です。中家氏と塩澤氏が KEK の小林氏と共に率いてきた T2K 実験は、2013年7月にミュー型ニュートリノが電子型ニュートリノへ変化する「電子型ニュートリノ出現現象」が存在することを世界で初めて明らかにしました。この成果により、電子型、ミュー型、タウ型の三世代あるニュートリノの全ての振動現象を発見したことになります。こうした、ニュートリノ物理学ならびに素粒子物理学発展への貢献が、今回の受賞に繋がりました。

今回の受賞について中家氏と塩澤氏は以下のように述べています。

中家氏のコメント:「今回の電子ニュートリノ出現発見は、T2K 実験グループ全員による成果であり、その成果が認められたことを非常に嬉しく思っています。T2K 実験は、1999年から戸塚洋二先生、西川公一郎氏と共に検討を開始しました。実験の初期に、戸塚先生と共同研究できた経験が自分の研究者としての基盤になっています。その尊敬する戸塚先生の名前を冠した賞を頂けたことは光栄の至りです。」

塩澤氏のコメント:「T2K の成果が認められた事に対し非常にうれしく思います。私個人としては、大気と太陽ニュートリノ振動の発見に続き電子ニュートリノ発現発見にも立ち会え、非常に幸運だったと思っています。引き続き成果を出していけるよう、精進していきたいと思います。」
 


中家 剛 教授略歴

1995年:大阪大学大学院理学研究科博士後期課程修了
1993年:日本学術振興会 DC 特別研究員
1994年:米国フェルミ研究所客員研究員
1995年:日本学術振興会海外特別研究員(米国フェルミ研究所所属)
1997年:シカゴ大学フェルミ研究員(Enrico Fermi Fellow)
1999年:京都大学大学院理学研究科 助手
2002年:京都大学大学院理学研究科 助教授
2007年:京都大学大学院理学研究科 准教授
(2008年3月〜現在:東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構客員上級科学研究員)
2009年:京都大学大学院理学研究科 教授

塩澤 眞人 教授略歴

1995年:東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程中途退学
1994年:日本学術振興会 DC 特別研究員
1995年:東京大学宇宙線研究所 助手
2004年:東京大学宇宙線研究所 助教授
2007年:東京大学宇宙線研究所 准教授
(2008年2月〜現在:東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構上級科学研究員)
2014年:東京大学宇宙線研究所 教授


関連リンク


「折戸周治賞」選考結果 /「戸塚洋二賞」選考結果  (平成基礎科学財団ウェブページより)
平成基礎科学財団ウェブページ
T2K 実験グループのウェブページ


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