小林俊行主任研究員がアメリカ数学会のフェローに選出

2016年11月1日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)
 

小林俊行 東京大学大学院数理科学研究科教授/Kavli IPMU主任研究員小林俊行 東京大学大学院数理科学研究科教授/Kavli IPMU主任研究員

東京大学大学院数理科学研究科教授で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)主任研究員の小林俊行(こばやしとしゆき)氏がアメリカ数学会(American Mathematical Society, AMS)の2017年フェローの一人に選ばれました。アメリカ数学会が2012年より開始したフェロープログラムでは、数学の新分野の創設、発展、振興、他分野との連携、活用などへの顕著な貢献によりフェローに選出された研究者が、数学の発展のための牽引役、数学会の会長および評議会への助言役、新たなフェローの選出役などを担います。今回選出されたフェローは、2017年1月に米国アトランタで開催されるアメリカ数学会の会合で正式に任命される予定となっています。フェローのリストは、アメリカ数学会ホームページに掲載されています。

小林主任研究員は、「不連続群の理論」「無限次元表現の分岐則の理論」「極小表現の大域解析」などをテーマとして新たな数学の道を切り拓くなど、数学界において画期的進展をもたらしてきました。今回、簡約リー群の構造論と表現論に対する貢献が評価され、フェロー選出となりました。


受賞にあたり、小林氏は「3万人以上の会員を擁するアメリカ数学会のフェローに選ばれましたことを光栄に思います。これを励みに、数学の研究により一層精進します」と述べています。

また、Kavli IPMUの村山斉機構長は「小林さんは数学で最も難しい問題に恐れを抱かず挑戦する人だ、と常日頃思っています。更に代数、幾何から解析まで、数学の全ての分野での専門的な力を組み合わせています。今回の受賞は間違いなく当然のもので、心からお祝い申し上げます」と述べています。

小林俊行氏 略歴
1985年 東京大学理学部数学科卒業
1987年 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
1987年 東京大学理学部助手
1991年 東京大学教養学部助教授
1992年 東京大学大学院数理科学研究科助教授
2001年 京都大学数理解析研究所准教授
2003年 京都大学数理解析研究所教授
2007年4月- 東京大学大学院数理科学研究科教授
(2011年6月- 現在 東京大学数物連携宇宙研究機構主任研究員)

理学博士(東京大学、1990年)

主な受賞歴
1999年:春季賞(日本数学会)
2002年:国際数学者会議招待講演
2006年:大阪科学賞
2007年: 日本学術振興会賞
2007年:サックラーレクチャー(イスラエル)
2008年:フンボルト賞数学部門
2011年:井上学術賞
2014年:紫綬褒章
2015年:JMSJ論文賞

主な著書

「数学の最先端 I」 (分担執筆、丸善, 原著はSpringer 2000)
「リー群と表現論」  (岩波書店, 2005)
「Schrödinger Model for Minimal Representation of Indefinite Orthogonal
Group」(アメリカ数学会 2011)
「Conformal Symmetry Breaking Operators on Differential Forms on Spheres」
(Springer-Nature 2016)

関連リンク
小林俊行氏のウェブページ

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