2022年10月26日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)
2022年11月23日(水・祝)、第8回目となる東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)と東京工業大学地球生命研究所(ELSI)との合同一般講演会「起源への問い」を開催いたします。昨年に引き続きまして、同じく東京大学のニューロインテリジェンス国際研究機構(IRCN)とも共催です。
宇宙・地球・知性..その起こりはどのようなものだったのでしょう。私たちは歴史のなかで、たえずこの問いに向き合ってきました。
本講演会では宇宙・地球・生命の起源について、今どこまで解き明かされているかその最先端のサイエンスをわかりやすくお話しするとともに、起源を問うとはどういうことなのかという根源的な話題について、サイエンティストの対話を仏教学者がモデレートします。
プログラム
13:40-14:10
講演1:
ビッグバンの前を観る〜宇宙の起源へ〜
講師:松村知岳(Kavli IPMU 准教授)
我々はどこから来たのか?シンプルかつ深淵な問いは、我々の目を宇宙の起源に向けます。現在、宇宙マイクロ波背景放射と呼ばれるビッグバンの残光が観測でき、それは宇宙に始まりがあることの証拠の一つと認識されています。この宇宙マイクロ波背景放射の偏光を精密に捉えることで、ビッグバン前に起きたと提唱されている宇宙の加速膨張(インフレーション仮説)の検証ができることから、世界中の宇宙論研究者がこの偏光信号の発見に向けて切磋琢磨しています。本講演では、ビッグバン前の宇宙を実験的に探索する研究を紹介します。
14:10-14:40
講演2:
宇宙で生命を探す
講師:玄田英典(ELSI 教授)
宇宙に地球外生命はいるだろうか?この疑問に、世界中の科学者たちが真剣に答えを出そうと奮闘しています。火星では大昔に水が流れた地形が各所に発見されており、近い将来、火星表層の砂が地球に持ち帰られる予定です。また木星や土星の衛星には、地下内部に液体の海が存在しているものもあり、そこでは微生物が今も活動しているかもしれません。さらに太陽系の外では、地球のような環境を持っていてもおかしくない惑星がたくさん発見されています。まさに地球外生命の発見前夜というべき今、その現状と近い将来の話をしたいと思います。
14:40-15:10
講演3:
聴いて、話して、伝えていく:音声コミュニケーションを支える脳の仕組み
講師:杉山(矢崎)陽子 (IRCN 特任准教授)
地球上にいる多くの生物が音声を用いてコミュニケーションしていますが、その中でどの様な音声を発声するか、発声学習できる動物は我々ヒトを含む限られた動物だけです。その中で歌を唄うソングバードは、我々ヒトの赤ちゃんが親との音声コミュニケーションを通して言葉を話すようになるのと同様に、発達期に親の歌を真似して唄うことで歌を学習します。コミュニケーションを介して自身の種に特有の歌を学習することで種を保存し、情報・知性を継承していると考えられています。本講演ではこのコミュニケーションから行う音声学習を可能にする脳の仕組みについての研究を紹介します。
15:20-16:00
座談会:
起源を問うとはどういうことか
モデレーター:馬場紀寿 (東京大学 東洋文化研究所 教授)
起源を問うとはどういうことなのか。異なる領域で起源に迫る3名のサイエンティストの対話を仏教学者がモデレートします。
概要
Kavli IPMU ×(かける)コレクション とは
基礎科学/純粋科学に分類されるKavli IPMUの研究者と他分野の専門家との交流を試みるシリーズです。これまでのイベントはこちら。