村山斉教授が委員長を務めた P5 による最終報告書が発表

2023年12月27日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (WPI-Kavli IPMU)
 

P5report
P5 最終報告書の扉絵 (Credit:Olena Shmahalo)

2023年12月8日、米国の科学諮問委員会 Particle Physics Project Prioritization Panel (P5)による最終報告書が発表されました。P5 の委員長は、カリフォルニア大学バークレー校マックアダムズ冠教授を兼ねる東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (WPI-Kavli IPMU) の村山斉(むらやま ひとし)教授が務めており、地域の人々や若手研究者とのタウンホールミーティングや非公開の会議等を1年近く複数回重ね、まとめられました。

今回の P5 最終報告書は、前回2014年に発表された最終報告書から9年ぶりにまとめられたもので、素粒子物理学の国際的な状況を科学的観点から適切に評価し、米国の予算状況も加味しながら次の10年間に米国がとりうるべき戦略計画を米国エネルギー省 (DOE) と全米科学財団 (NSF) に対して提言することを目的としています。そのため、米国の素粒子物理学への貢献の指針となると共に、世界の素粒子物理学コミュニティーへも影響を与える大変重要なものです。

報告書の中では、Kavli IPMU の研究者も参加する素粒子物理学実験も重要なプロジェクトとして言及され期待が寄せられています。例えば、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構で行われている Belle II 実験、岐阜県飛騨市神岡の地下で建設の進められているハイパーカミオカンデなどです。また、報告書の中では素粒子物理学と宇宙論との密接な関わりも述べられており、Kavli IPMU も中心的な役割を果たし準備が進められている宇宙マイクロ波背景放射偏光観測衛星 LiteBIRD についても、米国が中心的に進める地上 CMB 実験プロジェクトの CMB-S4 を補完する重要プロジェクトとして言及されています。
 

今回の P5 最終報告書の発表にあたり、委員長を務めた Kavli IPMU の村山斉教授は下記のように述べています。

「P5 の最終報告書は、アメリカ物理学会が主催する "Snowmass" と呼ばれる計画プロセスに参加した数百人にものぼる物理学者からのフィードバックに基づいています。昨年の Snowmass でも、何百ものレポートが提出されました。P5 の委員会では、今後10年及びその先の現実的なビジョンを描いていくため、こうして集められたそれぞれの希望を抽出していく作業を行なっていきました。これはまさに、科学の『民主主義』と言えるものです。とはいえ、私たちは、報告書の提言が財政的にも実行可能であるかどうかも念頭に置きながら現実的な計画を立てていかなければなりませんでした。また、小さなプロジェクトは既成概念にとらわれずにハイリスク・ハイリターンの科学的成果を生み出すこともあることから、大きなプロジェクトと小さなプロジェクトのバランスを考えることにも腐心しました。」

 

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