2017年12月7日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)
2017年12月3日、米国のブレークスルー財団が2018年の基礎物理学ブレイクスルー賞受賞者を発表しました。今年の受賞者には、WMAP (ダブリュ・マップ) 科学チームを主導してきた5名の研究者と残り22名の WMAP科学チームのメンバーが選ばれました。東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の David Spergel (デイビッド・スパーゲル) 主任研究員は WMAP 実験を主導してきた研究者の一人として受賞し、小松英一郎 (こまつえいいちろう) 主任研究員も、受賞対象となった WMAP科学チームのメンバーの一人として受賞しています。
基礎物理ブレークスルー賞は、宇宙の謎の解明のため研究を行い人類の知の開拓に深く貢献したとされる者を対象とする賞で、2012年にロシア人投資家の Yuri Milner (ユーリ・ミルナー) 氏により創設されました。ブレークスルー財団のブレークスルー賞には他に、生命科学分野と数学分野の賞があります。これら一連のブレークスルー賞の授賞式は、12月3日に アメリカ航空宇宙局 (NASA) のエイムズ研究センターで実施されました。
2018年基礎物理ブレークスルー賞の授与理由は "For detailed maps of the early universe that greatly improved our knowledge of the evolution of the cosmos and the fluctuations that seeded the formation of galaxies." とされ、 宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) の精密観測により、WMAP 衛星が宇宙の進化や銀河形成の種となる初期宇宙の密度揺らぎに関する知見を大いに向上させたことが評価されました。
今回の受賞について David Spergel 主任研究員は「WMAP チームがブレークスルー賞を受賞し、大変嬉しくとても光栄です。授賞式では、テクノロジー業界の沢山のスターや要人にお会いでき大変刺激的でした。こうした出来事が、次世代にとって宇宙論の大きな謎に挑んでいく意欲を掻き立てる一助となればと願っています」と述べています。
また、小松英一郎主任研究員は「本賞の受賞者の一人に選んでいただけたことを、とても光栄に感じると同時に恐縮しています。私の夢を実現する機会を与えて下さった WMAP チーム のメンバーの皆様に対して、そして特に、プリンストン大学在学時に博士号取得にあたり指導教官を務めてくださった David Spergel 先生 には本当に深く感謝しています。私は、プリンストン大学で宇宙背景放射 (CMB) の研究をするため1999年に日本を離れましたが、この経験は私の人生を完全に変えました。WMAP と共に偉業を成し遂げられたことに、私は未だに驚きが隠せません」と述べています。
Kavli IPMU ではこれまで、2015年ノーベル物理学賞受賞者で Kavli IPMU 主任研究員でもある梶田隆章 (かじたたかあき) 宇宙線研究所所長と Kavli IPMU 副機構長の鈴木洋一郎 (すずきよういちろう) 特任教授が Super-Kamiokande (スーパーカミオカンデ) 実験グループを率いた研究者として2016年基礎物理ブレークスルー賞を受賞しているほか、立川裕二 (たちかわゆうじ) Kavli IPMU 教授が若手研究者対象の2016年基礎物理ニューホライズン賞受賞者に選ばれるなどしています。
関連リンク
ブレークスルー賞財団 ウェブページ
2018年基礎物理ブレークスルー賞受賞者 ウェブページ
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(ブレークスルー財団によるブレークスルー賞記事のページ)
鈴木洋一郎特任教授・主任研究員と梶田隆章主任研究員が2016年基礎物理ブレークスルー賞を受賞
立川裕二 科学研究員が2016年基礎物理ニューホライズン賞を受賞
香港のショウ賞受賞 --David Spergel 主任研究員--