2026年6月2日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU, WPI)

2026年5月27日、香港のショウ賞財団は2026年のショウ賞(Shaw Prize) の受賞者を発表し、東京大学名誉教授で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI) の野本憲一 (のもと けんいち) 客員上級科学研究員が天文学部門の2026年ショウ賞受賞者の一人に選ばれました。日本人としては初めての受賞であり、グルーバー宇宙論賞とともに同一年に2つの国際賞を受賞したことになります。
ショウ賞は、実業家であり慈善家でもある Run Run Shaw 氏の構想に基づき2002年に設立された国際的な賞で、学術科学研究や応用分野において卓越した貢献を果たし活躍している個人を表彰することを目的に、天文学、生命科学・医学、数学科学の3部門において毎年授与が行われています。
野本 Kavli IPMU 客員上級科学研究員は、同じく受賞者となったカリフォルニア大学サンタクルーズ校教授の Stanford Woosley 氏と共に「恒星の壮大な爆発である超新星と現在の宇宙に存在する化学元素の起源に関する理解への根本的な貢献」をしたと評価され、受賞となりました。
野本 Kavli IPMU 客員上級科学研究員と Woosley 氏、そして両氏の共同研究者らは、恒星進化の最終段階、超新星をはじめとした爆発的な恒星現象の観測的特徴と多様な起源、そして化学元素が新たに生成される原子核合成過程に関する理解を深めてきました。特に光度曲線や核合成に関する理論モデルは、観測研究を導き、世界中の研究者にとって今や不可欠な解釈の枠組みとなっています。両氏は主にそれぞれ独立して研究を行ってきましたが、その研究成果は多くの場合互いに補完し合うものとなりました。
両氏はまた、伴星から白色矮星への物質の降着によって引き起こされる熱核爆発超新星の標準モデルを構築しました。両氏は、恒星内部における原子核燃焼を綿密に研究し、詳細な核反応過程と組み合わせることで、爆発による化学元素の生成を予測することを可能にしました。そして、これらの予測に基づいて、銀河の化学進化に関する包括的な計算を行いました。この計算は、恒星に含まれる化学組成の痕跡によって化学元素の起源を理解し、初期世代の恒星がどのような天体であったかを特定するため広く用いられています。さらには、大質量星の誕生から中心核の崩壊までの進化過程を追跡する計算を先駆的に行い、電子捕獲型超新星、ハイパーノヴァ (極超新星)、超高輝度超新星、外層剥離型超新星、電子対不安定型超新星などといった数多くの種類の超新星の起源を明らかにしました。
加えて、星の中心核が崩壊するタイプの超新星の中には、宇宙の彼方からでも観測できるほど明るい、短時間で強烈なガンマ線を発生させるものがあります。Woosley 氏によるガンマ線バーストのモデルでは、恒星の崩壊によって、ブラックホールまたは中性子星が形成され、その周囲に高速回転する降着円盤と恒星の外層を突き抜ける相対論的ジェットが存在します。野本 Kavli IPMU 客員上級科学研究員による元素合成と様々なエネルギーの爆発の計算は、こうした爆発が通常の超新星爆発よりもはるかに大きなエネルギーを放出する極超新星であることを裏付けました。
野本氏の経歴等
学歴
1969年 東京大学理学部天文学科卒業
1974年 東京大学大学院理学研究科天文学専攻博士課程修了
職歴
1974年 日本学術振興会特別研究員
1976年 茨城大学理学部物理学科助手
1982年 東京大学教養学部基礎科学科第二・助手
1985年 東京大学教養学部宇宙地球科学科助教授
1989年 東京大学理学部天文学科助教授
1993年 東京大学大学院理学系研究科天文学専攻教授
2008-2017年 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究者・特任教授
2014-2017年 浜松プロフェッサー[宇宙のダークサイド(浜松ホトニクス)寄付研究部門]
2010年- 東京大学名誉教授
2017年- 客員上級科学研究員
受賞歴
1989年 仁科記念賞
1995年 日本学士院賞
2010年 IAP(パリ天体物理学研究所)メダル
2015年 マルセル・グロスマン賞
2019年 ハンス・ベーテ賞(アメリカ物理学会)
2020年 瑞宝中綬章
2026年 グルーバー宇宙論賞
関連リンク
2026年ショウ賞 (天文学部門) の受賞者について (Shaw Prizeのウェブページ)
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