野本憲一 客員上級科学研究員が2026年グルーバー宇宙論賞受賞

2026年5月19日
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU, WPI)
 

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野本憲一 Kavli IPMU客員上級科学研究員(Credit: Ken'ichi Nomoto)

2026年5月19日、米国のグルーバー財団は2026年のグルーバー宇宙論賞(Gruber Cosmology Prize) の受賞者を発表し、東京大学名誉教授で東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, WPI) の野本憲一 (のもと けんいち) 客員上級科学研究員が受賞者の一人に選ばれました。日本人研究者としては初めての受賞となります。
 

グルーバー宇宙論賞は、宇宙論・遺伝学・神経科学の各分野において画期的な研究を通じて新たなモデルを提示し、知識と文化の根本的変革を促し可能にしてきた個人を称える賞として米国グルーバー財団により2000年に設立された「グルーバー国際賞プログラム」の賞の一つで、宇宙の理解の発展に貢献した宇宙論・天文・天体物理といった分野の研究者に贈られます。
 

2026年グルーバー宇宙論賞には、野本 Kavli IPMU 客員上級科学研究員のほか、カリフォルニア大学バークレー校天文学特別教授の Alexei V. Filippenko 氏とカリフォルニア大学サンタクルーズ校教授の Stanford Woosley 氏が選ばれています。受賞理由は「その先駆的な研究は、恒星進化、爆発的元素合成、重元素の起源、そして宇宙の化学的進化を結びつけ、精密宇宙論への超新星の活用を裏付けた」とされ、Filippenko 氏は観測の研究者として、野本客員上級科学研究員とWoosley 氏は理論の研究者として超新星を研究し、多方面で宇宙論に根本的な影響を与えてきたことが評価されました。
 

野本客員上級科学研究と Woosley 氏は、それぞれ独立してIa型とII型の超新星モデルの研究に取り組んできました。そして、Ia型モデルにおいては、白色矮星が伴星から物質を受け取り質量を増加させる速度が、その熱核爆発の性質を決定づけることを発見しました。一方、II型超新星モデルでは、爆発的現象の特性 (光度、化学組成、温度) や、爆発現象が残す中性子星やブラックホールの正確な値を予測することが可能となりました。さらに両氏は、これらの現象の一部が、宇宙で最も高エネルギーの現象であるガンマ線バーストを生み出す可能性があることや、それに伴う超新星は極めて明るく高エネルギーであり、「ハイパーノヴァ (極超新星)」という新たな名称に値する超新星爆発であることを明らかにしました。
 

元素合成に関しては、野本客員上級科学研究と Woosley 氏は、様々な質量や種類の超新星が各元素をどれほど生成するかを実際に計算し、その和が太陽や他の恒星に観測されている量と一致することを示し、超新星研究を予測可能な科学へと変えました。
 

授賞式は2026年11月10日にドイツのハイデルベルグにあるマックスプランク天文学研究所と House of Astronomy で開催予定の「Illuminating the Cosmos」の会議において行われ、賞金50万ドルは今回の受賞者3名で均等に配分される予定です。
 


野本氏の経歴等

学歴
1969年 東京大学理学部天文学科卒業
1974年 東京大学大学院理学研究科天文学専攻博士課程修了

職歴
1974年 日本学術振興会特別研究員
1976年 茨城大学理学部物理学科助手
1982年 東京大学教養学部基礎科学科第二・助手
1985年 東京大学教養学部宇宙地球科学科助教授
1989年 東京大学理学部天文学科助教授
1993年 東京大学大学院理学系研究科天文学専攻教授
2008-2017年 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究者・特任教授
2014-2017年 浜松プロフェッサー[宇宙のダークサイド(浜松ホトニクス)寄付研究部門]
2010年- 東京大学名誉教授
2017年- 客員上級科学研究員

受賞歴
1989年 仁科記念賞
1995年 日本学士院賞
2010年 IAP(パリ天体物理学研究所)メダル
2015年 マルセル・グロスマン賞
2019年 ハンス・ベーテ賞(アメリカ物理学会)
2020年 瑞宝中綬章