T2K実験

T2K (Tokai to Kamioka)実験は、素粒子のひとつ、ニュートリノのビームを使い、ニュートリノ振動と呼ばれる現象を観測しています。

茨城県東海村の大強度陽子加速器J-PARCを使ってミュー型ニュートリノのビームを作り、295km離れたスーパーカミオカンデで検出します。最初はすべてミュー型だったニュートリノが長い距離飛行する間に、ニュートリノ振動現象により一部がタウ型または電子型に変身します。この変身の様子をとらえ、ニュートリノの性質を調べるのです。

過去のミュー型ニュートリノのビームを使った振動実験ではニュートリノ振動現象によってミュー型ニュートリノが減少する様子をとらえていたのですが、T2K実験ではさらに電子型ニュートリノが出現する様子を探っています。ミュー型から電子型へのニュートリノ振動のチャンネルは、ニュートリノの場合とその反物質である反ニュートリノの場合で変身の確率が違う可能性があり、これをCP対称性の破れと呼びます。2013年、T2K実験は世界で初めて電子型ニュートリノの出現をとらえました。このことにより、将来の実験でCP対称性の破れを探索する道を開きました。

最近の解析結果はCP対称性の破れの兆候を示しており、さらに多くのデータを蓄積・解析することによりCP対称性の破れが確定されることが期待されます。 (Last update: 2018/05/11)

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